ご近所トラブルは「地獄」と同じだ いま悩んでいる貴方にこそ聞いてほしい、お坊さんからの言葉【ご近所トラブル大賞2018】
Jタウンネットの人気コーナー「実録!ご近所トラブル」の記事を現役のお坊さんと一緒に振り返る「ご近所トラブル大賞2018」。
これまで、よく読まれた記事や編集部が気になった記事などを浄土真宗本願寺派僧侶で、東京・四谷「坊主バー」の店主でもある藤岡善信さんに読んでもらった。
最終回は、この時期ならではの「雪かき」に関するトラブルだ。
お隣さんが我が家の前に雪を積む
「隣人がウチの前に雪を積む!『すぐ溶けるからOK』って言われても...」(東京都・50代女性)
雪の降る地方都市から、東京郊外に移り住んだ50代女性は、雪の置き場所についてお隣さんとトラブルになっている。子どものころから「自宅内の雪は道路に出さない」「道路の雪をどける場合も自宅敷地内に積む」と教えられ、それが常識だと思っていたのだがお隣さんはそうではなかった。
投稿者の方は、間違ってはいないと思います。お隣さんは「人目を避けて声をかけてこない」というのは、後ろめたい気持ちがあるのでしょうかね。
きちんと話し合うのがよさそうですが、注意の仕方を少し変えてはどうでしょう。「ここに置かないで!」というより先に、危ないんだということを教えてさしあげる。話して通じなければ、目の前で大げさに滑って転んでみるとか(笑)?
仏教で「修羅(しゅら)」という戦いの世界があります。修羅は、全員が「私が正しい」と正論ばかりを言うからぶつかって戦いになる。そういう考えでいくと、多少は、「仕方ない」と思う気持ちのゆとりを持ちながら、ご近所づきあいをしていきたいですね。
例えば「大変ですよね。ここ、置いていいんですけど。危ないんですよね~」と一旦、受け入れてから伝えてみると、お隣さんとの間に積もった心の雪もすぐ解けるのではないでしょうか。
ご近所トラブルは「地獄」だと思います。地獄というのは、言葉や心が通じ合わない世界をいいます。壁一つ挟んだお隣同士、近くにいてもコミュニケーションが取れない、心が通えないというのは、地獄に住んでいるのと同じことです。
つらいとばかり思わず、これもご近所さんと仲良くなれるチャンスかもしれません。出会いは悪かったとしても、良い風に変えてあげる。仏教的にいうと「悪を転じて善となす」。地獄から脱出するためには、こちらから心を開き、扉をノックすることが大切です。誤解したまま、されたままでは、生きていくのがつらすぎます。
(浄土真宗本願寺派僧侶、四谷「坊主バー」店主 藤岡善信 談)
坊主バー
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住所:東京都新宿区荒木町6番地AGビル2階
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ツイッター 四谷 坊主バー(@yotsuya_vowzbar)
「いつでも開かれたお寺」をコンセプトにしたカジュアルでアットホームなバー。現役の僧侶の話に耳をかたむけ、人生を語り合うひとときを過ごしたいと、世界中から客が訪れる。1日2度ほどお経の時間がある。