日本一のソープ街を「食」で支える スタミナ満点、吉原の名店「焼肉 晃」
壊れた自動ドアの先に
今回、取材に応じてくれたのは吉原大門から見て、最も奥にある京町通りの韓国家庭料理の店「焼肉 晃」。
奥の厨房にいた女性が料理を作り、もう一人男性がバイクで配達をしている。厨房の女性によると、もっぱら配達がメイン。店舗は配達先のボーイさんから、お店でも食べたいとの要望があり開けているという。
テーブルにはロースターも付けられているが、焼肉店としての営業はしていない。定食類のほか、カルビスープやユッケジャンといったスープ類がお店のウリだ。
今回は定食類の中からスタンダードな「焼肉定食」(税込900円)を注文した。
まずはナムルからいただく。酸味の締め付けが舌をいたずらする。咀嚼をしてくうちに酸味から解放された野菜の甘みが西ベルリンへと向かうトラバントのように押し寄せた。
ナムルと同じ更に盛られたキュウリのキムチも辛さは控えめ、これが引き立て役となって甘さの存在感が強い。野菜類はどれも甘みの主張があるやさしい味であった。
主役の焼き肉は塩味とほんの少しの辛み、そして重みのある甘さの感じられるタレを身にまとっている。水気が少ない下敷きのキャベツはたっぷりのタレと混ざることで程よい食感。このコンビネーションは中日ドラゴンズの「アライバ」コンビのゲッツーのような美しさだ。この鮮やかさを前に米が進んでしまう。
刺激的な味のプレイで疲れたら、卵入りの味噌汁で落ち着ける。さっぱりとした味噌にたまごの滑らかな触り心地が快感に痺れた感覚を癒してくれる。
どの料理も欠けてしまってはいけない。食べ終わった後の満足感だけでなく「この後も頑張ろう」とやる気が湧くような料理のチームプレーに後押しされ、取材を終えた。
取材を終え、店を出たのは19時前。花の金曜日に何かを求める男たちの姿をよそに、記者は次の取材先に向けて車を走らせた。
(Jタウンネット編集部 大山雄也)