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発生50年「三億円事件」現場のいま あの日この場所で、犯人は何を考えたか

大宮 高史

大宮 高史

2018.12.29 11:00
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時代の隙を見事に突いた犯人

半世紀後の多摩の街はごく普通の平成日本の日常が送られていたが、徒歩と鉄道だけでこの現場をすべて回るのは意外と骨が折れた。

多摩地域の広いエリアに複数のアジトを確保し車を用意しておく犯人の周到さに舌を巻くが、同時に多数の目撃証言、遺留品、検問をかいくぐって逃げおおせた運の良さも実感する。

現代ならば逃走経路やアジトも、捜査手法の進歩(有名なモンタージュ写真は事件とは全く無関係な一般人を参考にした)、カメラやDNA鑑定でより簡単に特定できてしまうだろう。

そして50年前は、東京といえども空き地や人気のない土地がまだまだ残っていた。地縁が薄れて都市化が進む絶妙な隙を突き、かつ車やバイクなど大衆に普及し始めた乗り物を駆使して捜査をかいくぐった、時代の隙を突いた完全犯罪といえる。

鮮やかな手口と一人の死傷者も出なかったことから、犯人は時に英雄視もされ、半世紀の間に数えきれないほどの推理や創作がなされてきた。今回事件について調べ、現地で犯行の足取りを追ってみて、これほど多くのヒントを残しながら闇に消えた犯人に人々が魅かれる理由が感じられる取材だった。

参考文献:『日録20世紀 1968年』講談社、1997年
『別冊宝島20世紀最大の謎 三億円事件』宝島社、2008年
一橋文哉『三億円事件』新潮社、2014年

Jタウンネット編集部・大宮 高史

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