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新潟名産「幻の西洋梨」ル レクチエ 濃厚な口どけ、罪な甘さにうっとり

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.11.27 18:10
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年齢の数だけ身に沁みる

「ル レクチエ」はフランス原産で100年ほど前に新潟県に上陸した品種。西洋梨であるにも関わらず、本国フランスでは既にほとんど生産されていない。生まれも育ちも埼玉県の筆者は全く聞いたことがなかったが、新潟県民には広く知られた存在だという。

本国フランスでも100年以上作られていない品種が新潟で復活したウラにはこんなエピソードがある。

もともと、生産に手間がかかる品種のため、農家が自分用に作り続けていた。それが料亭に流れ、芸者たちの間でたちまち評判になり広がっていき、品種としての存在感を高めた。栽培技術の難しさ、安定供給ができるようになったのは平成に入ってからというのもあって、「幻の西洋梨」とも呼ばれることもあるそうだ。

フランス生まれ新潟育ち――。変わった道筋を歩みながらも注目度が高まったル レクチエをJタウンネット編集部は運よく入手することができた。

お酒との相性も良いとのことで下戸の筆者に加えてS編集長も交えて試食を行った。

カットしたル レクチエ
カットしたル レクチエ

まず、スタンダードにカットしたものをいただいた。しっかりとした食感が特徴で、ラ・フランスのような舌ざわりのざらつきがない。さわやかな香りが鼻を抜けるも、口どけは濃厚。芳醇な甘みが気持ちよく口を通り抜け、喉をいたわるように滑らかさが抜けていく。

続いては我らがS編集長の出番だ。ル レクチエの入ったグラスに、こちらも新潟の八海醸造が手掛ける「あわ 八海山」を注いで楽しんでいただく。

ル レクチエ入り「あわ 八海山」
ル レクチエ入り「あわ 八海山」

「カクテルのようだ」と話すS編集長は、普段の厳格で凛々しい表情を崩して優しく筆者に語り掛けた。このままだと編集長が楽園に行きかねないので次に移る。

続いては、カットした果肉に生ハムとゴルゴンゾーラチーズを乗せ、まるで「生ハムメロン」のようにいただく粋な食べ方にチャレンジ。

ル レクチエに生ハムとゴルゴンゾーラチーズを乗せて
ル レクチエに生ハムとゴルゴンゾーラチーズを乗せて

生ハムの塩味、ゴルゴンゾーラチーズの酸味と少しの苦味。このダブルパンチを前に流石のル レクチエも食感のみの主張に終わったかと思った。しかし、本番は飲み込んだ後だ。生ハムとゴルゴンゾーラチーズの味が消えた後、そのままで食べたとき以上に強く、長くそして濃厚にル レクチエの甘みが抱きついてくる。別れを惜しむように続く甘さの余韻にしばらく浸った。

追熟の期間が約40日間あるル レクチエはフルーツの最大の強みであるジューシーさに加えて、快楽の深みに堕ちていくような罪な甘さがある。純粋ではなく悪いこともたくさん知っている人の方が魅力的。それと同じようなことであろう。黄金色のドレスをまとった美女の下を扱いきれない自分の幼さを感じてしまうほどだ。

12月が最盛期にあたり、これからのお歳暮やクリスマスギフトにもうってつけ。冬の罪作りなあいつは新潟からやってくる。

(Jタウンネット編集部 大山雄也)

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