音楽フェスって、タバコ臭いんでしょ? 先入観たっぷりで、初めての「サマソニ」へ行ってみると...
紙巻きタバコは吸えない
会場内を歩いていると、ところどころで、青色の看板が立つブースが目に付いた。フィリップモリスジャパン(PMJ)が無料で、加熱式タバコ「IQOS」(アイコス)を貸し出すブースだ。なんでも、今年のサマソニでは、一般的な「紙巻きタバコ」は喫煙できず、加熱式のみになっているそうだ。
こうしたエリアが、千葉で12、大阪に6つ設置されている。借りるには名前と電話番号を記入するだけだ。レンタルを行うアイコスのフレーバーは7種類。「お客様ご自身に合った味わいを選んでもらいたいですね」と話すのは、PMJの高橋宏さん。他人から借りたものを使ってみたところ「自分に合わない」と辞めてしまうことがあることから、今好みのフレーバーを選び使ってもらいたい、と語気を強める。千葉・大阪会場で推定2万人の成人喫煙者に対し、貸し出しを積極的に行いたいそうだ。
PMJのディレクター、坂牧真美さんは、
「喫煙者の方々が紙巻タバコからより良い選択肢である加熱式タバコへのスイッチングを促進したいと思います」
と語る。
同社は昨今、紙巻きから加熱式へと軸足を移していて、18年6月時点で、すでに国内で延べ500万人がアイコスを利用しているという。
「それが喫煙者に対してはより良い選択肢であり、非喫煙者にも迷惑をかけずに済むからです」
紙巻タバコの場合、燃やすことで有害性物質が発生し、副流煙や臭いが非喫煙者の方へ流れる。だが加熱式だと、有害性物質や臭いは生じにくくなるそうだ。
「我々の実証実験で検証出来ている以上は、加熱式を促進すべきだという英断に至りました」
勝手ながら「音楽フェスといえばタバコ」といった印象を持っていた筆者。今回サマソニがPMJと組んだ理由は、どこにあるのだろうか。サマソニを主催する、クリエイティブマンプロダクションのマーケティング・運営部で統括部長の小池邦彦さんは、こう語る。
「今回、喫煙環境が大きく変わっていく中、サマーソニックは煙のない社会の実現に賛同し、本年度より、紙巻タバコから加熱式タバコへの切り替えを始めたいと思っております」
PMJのビジネス転換や、受動喫煙防止法案など喫煙環境の変化を踏まえ、「両社の思いが一致し、開始しました」とも述べた
ZOZOマリンスタジアム内のアイコス喫煙スポットは、屋外にある。だが、かたわらを通り過ぎても、煙の臭いはしなかった。まさに「煙のない音楽フェス」がそこにはあった。