1000万円相当の商品を「全部捨てろ!」 南部せんべいの老舗・小松製菓、「涙の廃棄」の実話を映画化
袖すりかわす縁をも活かして映画製作にこぎつけた
今回の映画は「告白」と題したもの。その製作は、小松製菓の創業70周年と、創業者の小松シキさんの生誕100周年を記念して行われた。11日からYouTube上で無料公開されている。
映画のストーリーは、2011年の冬にさかのぼる。チョコレートに細かく砕いた南部せんべいを入れ、09年に誕生した「チョコ南部」が大ヒットしていたさなか、とあることがきっかけで、突如、
「あのチョコ南部、全部捨てろ――」
と、小松務社長(現:会長)が、青谷耕成営業課長(現:執行役員)に告げる。その後、大逆転のプレゼンを経て――といったストーリーだ。
「告白」を見ると、ビジネスと経営者の哲学がぶつかりあう話になっており、作品としての見ごたえもバッチリだ。
今回の短編映画「告白」の制作に関して、作品内にも登場した青谷さんにJタウンネット編集部が18年6月12日に取材したところ、次のように説明した。
もともとは、青谷さんが東京でセミナーを受講しているときに偶然、映像制作会社「オッドピクチャーズ」の社員と会い、創業70周年を記念した短編映画を作ろうと意気投合したという。
「弊社にとって、一番恥ずかしく、隠していたエピソードをポロリとお話ししたら、他のどんなエピソードよりも面白かったようで、そのまま台本になってしまった、という感じです。70周年ということもあり、巖手屋の次のフェーズとして、この事実を、どのように伝えようかと考えた時、『北のチョコレート工場&店舗 2door』(二戸市)を作った経緯をお伝えするのが一番ご理解いただけるのではないかと思い、映画化に踏み切りました」
と青谷さんは振り返る。
評判については、
「泣いたと言ってくださる方、笑ったと言ってくださる方、様々ですが、実話ということと、映画としての完成度の高さに驚いて頂いております」
と語る。現在のチョコ南部については、
「現在は、チョコ南部も10種類以上に増えており、夏の間も食べられるようになりましたので、1年を通してとても好調です」
と手ごたえを感じている様子だ。
今後、こうした動画を作るのかについては、
「他の動画予定はまだ考えておりません。今回の映画の英訳版を製作し、言葉の壁を越えた映像で外国人の方々への発信を予定しております。あと関東でも上映会をやろうかと考えております」
とし、一層の広がりを見せることを示唆した。