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震災50年後の家族模様は... 7分40秒のミュージカルに感動【ご当地動画ひざくりげ】

十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

2018.04.21 11:00
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今週から「ご当地動画ウォッチャー」を自称する、十中舎八九さんによる新連載が始まります。都道府県や市区町村が制作して、YouTubeなどに上げられている「ご当地動画」。「プロの映像作品がタダで楽しめる。見ないなんてもったいないですよ!」と力説する八九さんによる、熱のこもったコラムです。

初回のお題は、福島県制作の「MIRAI2061」。3.11から50年後の福島を描いたミュージカル作品です。八九さんは、この作品をどう見たでしょう――。

「空飛ぶクリームボックス」には面食らうが...

福島県プレスリリースより
福島県プレスリリースより

   東日本大震災から50年後、2061年8月21日を舞台にした作品。箭内道彦監修のもと、福島県が18年2月に発表した動画だ。冒頭から「空飛ぶクリームボックス」が出てきたのには面食らったが、物語が進むにつれて目頭が熱くなり、7分40秒後にはハンカチをあてがっていた。

   物語は、おばあちゃんのひかり(清野菜名ら)と、孫娘みらい(豊嶋花)のかけあいを軸に、ミュージカル調で進められる。ポイントは清野の演技力。テレ朝系の昼帯ドラマ「トットちゃん!」の主演で、このところ注目をあびている清野だが、その魅力は「MIRAI2061」の中でも、最大限発揮されている。惜しむらくは清野が福島ではなく、愛知出身というところか。清野は、ひかりと同時に、その娘(つまり、みらいの母)である桃子も演じている。

   みらいの父・晴暁は、林遣都が演じる。こちらも県外出身(滋賀)だが、そんなことをツッコむのは野暮か。桃子との出会いのシーンでは、「酪王カフェオレ」を飲みながら登場。いろいろとすっ飛ばして、みらいがこの世に生を受けるのだった。

   終始明るい曲調だが、折り返し地点では、ちょっとだけしんみりと。ひかりはみらいに、「ふるさとが大けがした」あの日のことを語りかける。言うまでもなく、2011年3月11日。大きな津波と、福島第一原発事故を引き起こした、あの日のことだ。ふたりのやり取りは、基本的に「福島を代表する憩いの丘」である、「ジェビレーヒルズ(J-VILLAYHILLS)」を舞台にしているのだが、もしかしてこの名前はJヴィレッジ(J-VILLAGE)にひっかけているのだろうか。

   しばしのしんみりゾーンから一転、MCみらいによるラップで、また明るいムードに戻る。豊嶋はNHK朝ドラの「ごちそうさん」で主人公、「あまちゃん」で母・春子のそれぞれ幼少期を演じた姿が印象的だったが、どうやら「トットちゃん!」では清野の(正しくは、黒柳徹子の)幼少期も演じていたらしい。いま知ったが、そりゃ清野とのかけあいも上手なワケだ。ちなみに彼女は東京出身のようだ。

   さっきから出身地の話ばかりで恐縮だが、最後に福島を代表する大御所が登場する。おじいちゃん・大洋役の西田敏行だ。「探偵!ナイトスクープ」で関西イメージもあるが、れっきとした郡山市出身。そういや、ナイトスクープではすでに、上岡龍太郎(12年)を大きく上回る出演年数となっている(18年4月現在、17年3か月)。

   閑話休題。この西田が出てくることで、突如として福島感が出てくるのだ(いい意味で)。「もしもピアノが弾けたなら」で知られる美声だが、劇中ではメインボーカルを取らず、コーラスに徹している。でも、やっぱり西田敏行なのだ。8分弱の動画で、時間にすると30秒前後の出演なのだが、これは西田なくては成立しない。終わるころには、涙もろい「局長」の代わりに、気づくとこっちが涙を流していた。

十中舎八九

筆者:十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

ご当地動画ウォッチャー。外出は疲れるので、自治体制作の動画を見て、旅行を疑似体験するのが趣味です。Twitterはじめました。

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