江東区vs大田区の「領土問題」めぐり、「東京24区にすれば」とのアイデアも
2017.10.18 17:00
大田区は「受け入れられない」と強く反発
歩道は雑草が伸び放題、内陸部は森のような木々が生い茂り、まるで東京の辺境のよう――こんな土地が争いのターゲットだ。
この「中央防波堤」は、ゴミの埋め立てが1973年から行われ、広さは約500ヘクタールある。2つの人工島から成っており、それぞれ外側埋め立て地と内側埋め立て地と呼ばれている。
埋め立て地を巡っては、江東区は、ゴミが区内を通って運ばれたことなどから、大田区は、かつて区内の漁協がノリ養殖をしていたことなどから、それぞれ領有権を主張して対立してきた。
それが解決に向けて動き出したのは、2020年東京五輪のボート・カヌー会場として「海の森水上競技場」が中央防波堤内に新設されることになってから。両区が五輪までの解決を目指して2017年7月に東京都に調停を申請し、これに対し、都は10月16日、両区に調停案を提示した。
内容は、埋め立て地のうち、江東区が海の森水上競技場を含む約86%、大田区がコンテナ埠頭のある約14%を取得とするものだ。両区の護岸からの等距離線を基準に分割するなどしてこの割合を出した。
江東区の山崎孝明区長はこの日、都の調停案について「高く評価を致します」と会見で話して受け入れる考えを示した。「多い少ないということではなくてですね、中立的な、また合理的な判断」だとしている。
これに対し、大田区の松原忠義区長は会見で、区の領域が少なくなったことなどに不満を示し、「72万区民を代表する大田区長として、これを受け入れることはできません」と強く反発した。