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ぷりぷりのホルモンと秘伝のタレが決め手! 岡山県津山市の「津山ホルモンうどん」

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2017.05.30 06:00
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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は岡山県津山市にやってきました。岡山県といえば、観光地として倉敷市が有名ですが、実は津山市も歴史的名所が数多く存在する土地。「日本三大平山城」の一つである津山城は人気の観光スポットで、街のあちこちには城下町の名残があります。

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そんな津山市で昔から親しまれているのが「津山ホルモンうどん」。ホルモンにうどんとは、あまり耳慣れない組み合わせのようにも思えますが、一体どんなメニューなのでしょうか? そこで今回は、「津山ホルモンうどん」の老舗である「橋野食堂」にお邪魔しました!

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目的地である「橋野食堂」は、津山駅から城東地区を通り、さらに東に進んだところにありました。最寄りの東津山駅からは徒歩10分ほどの距離です。

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今回案内してくれたのは、4代目店主の橋野弘さんと奥さまの由美子さん。現在は息子さんが5代目を継いでおり、ご夫婦とともにお店に出ています。

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それでは早速注文してみましょう!

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出てきたのは……大ぶりのホルモンがてんこ盛りの焼きうどんでした! たっぷりのうどんの上に丸々としたホルモンが鎮座し、ボリューム満点。また、ネギの緑色が色彩を豊かにしています。ちなみに今回はうどん二玉で頼みましたが、一玉から頼むことができます。

まずはホルモンを一口食べてみると……ホルモン特有の臭みは全くありません。ホルモンの臭みが苦手な人も、これなら大丈夫なはず。そして、ホルモンを噛むと甘辛いタレがジュワッとしみ出し、口いっぱいに広がります。しっかりとタレが染み込んだホルモンからはしょうゆや味噌の風味豊かな味わいがするので、食欲をかきたてられます。それにしても、ホルモンのボリュームは圧巻です!

橋野さん「『津山ホルモンうどん』では、使用するホルモンは80g以上と決められているのですが、うちでは大きめに切ったホルモンを規定量以上たっぷり使っているのが特徴です。臭みが全くないのは、すぐ近くに食肉処理場があるから。全国的に見ても津山の洗浄技術はずば抜けていて、非常に綺麗にホルモンを洗えます。地産地消にこだわって市内のお店と契約しているため、新鮮で臭みのないホルモンを手に入れられるんですよ」

使用する部位は日によって違いますが、小腸、ハツ、センマイ(胃の一部)、大腸、ミノといった部分をミックスして使っているそうです。小腸はふわふわぷりぷり、センマイはコリコリというように、部位によって食感が変化します。弾力は強いですが、噛み切れないということはありません。

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全ての具を一緒に食べると、うどんはもちもち、ホルモンはぷりぷり、ネギはしんなりとしていて、種類の異なる柔らかさが楽しめます。そこにもやしのシャキシャキ感がアクセントを加え、バランスの良い食感となっています。

「津山ホルモンうどん」の定義には、前述したホルモンの量に加え、「地産地消」があげられます。この店でも、使っているうどんや野菜は、ホルモンと同じく津山産です。使用する野菜は店舗によって異なりますが、橋野食堂で使っているのはタレの味がよく染みこむネギともやしの二種類のみ。

確かに、ホルモンからネギまで具全体に甘く、時折うっすらとした辛みを感じさせるタレが行き渡っています。しかし、後味はしつこくなくあっさりしているため、量が多くても飽きることがありません。女性でも二玉を注文する人は多いそうです。

■ポイントは絶妙な焼き加減とこだわりのタレ

主役のホルモンと麺や具がバランス良く絡み合う、この味をどうやって作り出しているのでしょうか? 実際の調理過程を見せていただきました!

橋野さん「新鮮なホルモンでも、牛肉であるからにはどうしても臭みが残る場合があります。それを防ぐため、ホルモンは特に注意してしっかり焼いています

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橋野さん「最後にホルモンだけにタレをかけ直し、よく焼くことで、しっかりと味を付けているんです。ただし、焼きすぎてもダメ。口当たりをよくするために、焦げ目がつかない程度が目安です。この加減が難しいですが、『ホルモンは苦手だけどこの店でなら食べられる』と言ってくださる方が多いので励みになりますね」

そんな橋野さんのこだわりは「とにかくタレ」。それは由美子さんの「うちの主人はタレに命をかけています」という言葉からもわかります。

橋野さん「市販のタレは一切使わず、田舎みそやゆず、りんご、にんにく、しょうゆなどを使って、100%自作しているのがうちのこだわりです。基本は先代から受け継いだものですが、お子さまでも食べやすいように少し甘くアレンジしているんですよ。味は普通・ピリ辛・激辛から選べますので、自分の好みを見つけてもらえれば」

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今回注文したのは「普通」味ですが、「ピリ辛」「激辛」と段階が上がるにつれてタレの濃さが増し、一味唐辛子の辛みがきいていきます。「激辛」になるとうどん全体が真っ赤になるそうですが、辛さに自信がある人は挑戦してみては?

■牛肉の名産地・津山で愛され続けて130年

現在では「普通」を好む子どもから「激辛」を頼む大人までさまざまなお客さんに愛されている橋野食堂ですが、なんとその歴史は130年前にさかのぼります。

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橋野さん「もともとうちは“平田屋”という名のうどん屋でした。60年ほど前にこの一帯の飲食店のほとんどが鉄板を置き、ホルモンやホルモンうどんを扱うようになったんです。そこで当時の店主だった3代目が店名を変え、ホルモンうどんを提供し始めました。ホルモンうどん自体は僕らが幼いころから食べていたもの。ずっと昔から親しんできたメニューなんです」

歴史をひもとくと、実は岡山は農耕や運送のために牛や馬がたくさんいた土地。交通の要所であった津山市には、奈良時代にすでに牛馬の市が開かれていた記録が残っています。江戸時代に幕府から食肉を禁じるおふれが出た時、日本で津山と彦根だけは「養生喰い」と呼ばれる地域として黙認されたほど。

牛肉が簡単に手に入った津山では、とりわけホルモンが鉄板焼き屋や焼肉屋の定番として食べられるようになりました。そんな中、いつしか裏メニュー的にシメのうどんを入れるようになったのが津山ホルモンうどんの始まりと言われています。

長い間地元民に愛され続けているホルモンうどんは、数年前にB-1グランプリの上位に入賞したことで一躍全国的に。現在では市内の50店舗以上でホルモンうどんが提供され、有志で結成された「津山ホルモンうどん研究会」によるPR活動も行われています。

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数あるお店の中でも橋野食堂の人気は格別。土日の行列は当然、連休になれば開店時間からお客さんが並び始め、多くの人の列ができるんだとか。

橋野さん「最近では市外、県外のお客さんが特によく来てくれますね。タレによってホルモンが独特の風味に変化する自慢のご当地グルメですから、普段食べているホルモンとはまったく違う味わいを楽しんでほしいです」

由美子さん「お客さんには外国の方も多いんですよ。まったく日本語が通じない相手でも、ジェスチャーやメニューを見せるなどしてコミュニケーションをとり、おいしく食べてもらったときはうれしいですね。昔からあるホルモンうどんですが、現在も愛されているのはみなさんの口にタレが合ったからかもしれません」

なるほど、先代からの伝統を大切にしながら、常に津山やお客様のことを考えているから長い間愛され続けているのですね。ご主人のタレへの心意気は、しっかりと伝わってきました! みなさんも、歴史ある津山市に観光に訪れた際は、"歴史"と"タレ"がしみ込んだホルモンうどんで英気を養ってはいかがでしょうか?

店舗情報

●橋野食堂

住所:岡山県津山市川崎549-9

電話:0868-26-0502

営業時間:月〜土10:00~19:00、 日10:00~16:00(水休)

http://tsuyama-horumonudon.com

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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