仙台弁の「いきなり」と、他地域の「いきなり」はニュアンスが違う
「えずい」は京都から来た言葉
東北大学院文学研究科の小林隆教授によると、「いずい」は居心地が悪い時などにも使えるなど精神的な感覚としても使えるとっても便利な言葉とのことです。小林教授は「いずい」は「ず」か「づ」か? という疑問にも答えてくれました。そもそもの語源的には「ず」とのことです。
室町時代の京都に使われていた由緒ある言葉で、文献にも出てくる「えずい」という言葉が語源なのです。現在の京都では使われていませんが、室町時代の京都では体の表面がゾクゾクする様な恐ろしさとして使われていました。
それが東北の宮城に伝わるまでに、何故か体の表面に違和感があるという意味に変化し、仙台には「い」と「え」の区別がない地域だったので、中間的な発音をしていたのが「い」に流れて、「いずい」になったとのことです。ちなみに、九州では「えずい」をそのままの意味で使っているそうです。
そして、もう一つの仙台弁の代表的な言葉「いきなり」。「いきなり」というよりは「いぎなり」と言いますけどね。
語源は、標準語の「いきなり」そのものとのことでした。一般的な「いきなり」は突然という意味ですが、突然の場面には「激しい動き」が絡んで来ます。その激しさや程度の大きさの方に惹かれて、その激しさと程度の大きさだけを表す、仙台の「いきなり」になりました。
小林教授は「方言は相手と親しくするための道具。方言で話した方がグッと距離が近づきます。そういった点でも、ぜひ若い人に仙台弁を使い続けて欲しい」と語っていました。
私は、関西から来た職場の子と話していて「だからー」と言ったらポカンとした顔で「で?」と言われました。宮城県民なら「だから」の使い方、分かりますよね?(ライター:佐藤憲子)