あの「DA.YO.NE」ローカル版が、多くのスターを輩出していた!
ヒップホップユニット、EAST END×YURIが1994年にリリースした「DA.YO.NE(だよね)」。ミリオンセラーとなり、翌年のNHK紅白歌合戦に出場するなど、日本におけるヒップホップ文化の定着に、一役買った曲である。
この「DA.YO.NE」の全国的ブームにあやかろうと、各地版の「便乗シングル」も企画されたが、それらローカル版の楽曲から、後の有名タレントが多く輩出されたことは、あまり知られていない。たとえば――。
北海道版は「ミスター」鈴井貴之さんが担当
各地のローカルタレントを起用した「DA.YO.NE」の地方版。もっとも有名なのは、今田耕司さんと東野幸治さん、武内由紀子さんが歌う、関西版の「SO.YA.NA(そやな)」だ。とはいえ、発売された1995年には、すでにWコウジは「ダウンタウンのごっつええ感じ」に出演しているので、「後の有名タレント」と言うのは難しい。
その点でいえば、福岡版の「SO.TA.I(そーたい)」は、博多華丸さん(当時の芸名は、鶴屋華丸)と、おたこぷーさんの芸人コンビに加え、女優の板谷由夏さんも参加しているのが注目ポイントだ。当時モデルだった板谷さんは、この曲の4年後に女優デビュー。いまでは「できる女」風の役柄が多いが、SO.TA.Iでは福岡なまりのラップを披露している。
北海道版の「DA.BE.SA」では、「水曜どうでしょう」スタート前年の鈴井貴之さんが熱唱している。紅一点の伊藤亜由美さんは鈴井夫人でもあり、現在は大泉洋さんらを擁する芸能事務所「CREATIVE OFFICE CUE」の社長(会長は貴之さん)を務めている。
東北版「DA.CHA.NE(だっちゃね)」の熊谷麻衣子さんは当時、岩手めんこいテレビのアナウンサーだった。2003年にフリーとなり、09年には「サンドウィッチマン」の伊達みきおさんと結婚している。
一方で、現況が全くつかめない歌手もいる。たとえば広島版「HO.JA.NE」の女性パートは、「YU-KA MIURA」なる人物が担当しているのだが、漢字表記も含めて、調べても手掛かりがなかった。
あわせて100万枚は売れていた?
そもそも、これらのシングルは、どれくらい出回ったのか。「SO.YA.NA」は1995年2月、その他5都市バージョンは4月に発売された。6月20日の日経流通新聞(日経MJ)には、ローカル版を仕掛けたレコード会社担当者のコメントが載っている。
「各三千枚ずつ、合計で一万五千枚ほど売れれば上出来と思っていたところ、現在のところ合計で四十万枚を超えている。結果として、柳の下にどじょうはウヨウヨいました」
記事では「SO.YA.NA」が50万枚突破とあり、合わせるとローカル版6タイプで100万枚近くは売れたことになる。合わせ技ではあるが、ミリオンヒットと呼べるだろう。そんな各地の「DA.YO.NE」の歌詞には、どんなご当地要素が込められていたのか。後編で検証してみよう。