復活する鉄路と、人口流出が続く常磐沿線
[OH!バンデス-宮城テレビ]2016年11月11日放送の「3.11あの日から」のコーナーでは、JR常磐線の開通を待ちわびる山元町の沿線地域について放送されました。東日本大震災以降不通となっていた、浜吉田~相馬の区間(約22キロ)で、来月10日の運転再開に向けて試運転が開始されました。
運転再開にあたり、津波の被害が大きかった駅は「内陸移設区間」として、駅舎を元にあった場所より内陸に移設されました。山下駅、坂元駅が移設された山元町では、駅周辺で新しい街づくりが進められており、被災者の集団移転先として宅地と災害公営住宅を112戸分整備し、現在およそ200人が生活しています。
商業施設が不足している
山元町議は「JR常磐線が再開することで、仙台まで電車で45~50分で行けるようになり、住宅も徒歩数分の場所に整備されていることから仙台への通勤圏となるので若い人に戻ってきてもらいたい」と話していました。
去年の国勢調査によると、山元町の人口は震災前から26.3%減少しており、県内では3番目に減少率が高くなっています。特に坂元地区は減少率が33.8%と人口の流出が激しくなっており、集団移転をした時に若い人たちが通勤や通学のために転居したことが原因とみられます。
さらに坂元地区では商業施設が不足しており、住民の高齢者に話を聞くと、「今は買い物をするために車で亘理や山下、相馬などに行っているが、いつまでも運転できるわけではないので、近くに店があると便利」との声がありました。
町では駅の隣に土地を用意し、商業施設を誘致していますが、住民の減少による採算性の悪さが原因としてなかなか出店する企業がないとのことから、町としては、道の駅か産直施設を作る動きがあります。
地域が衰退しないように核になるものとして、農作物の他に地元産の加工品を販売する道の駅か産直施設を作ることで、生産者と一体となって街を盛り上げるのが狙いです。鉄路の復活を街の活性化にどうつなげていくのか、地域の知恵が今求められています。(ライター:長沢あきこ)