ホームドア設置で、「人身事故」は完全になくなるか?
ホーム事故のうち、酔客原因は6割
内閣府の「平成28年版交通安全白書」によると、ホーム事故(ホームから転落、もしくはホームで列車と接触して起きた死傷事故)は、2015年に215件(前年比2.3%減)発生していて、そのうち死者は30人(前年比14.3%減)。なおホーム事故のうち、酔っ払いによるものは61.9%(同白書)を占める。
ホームドア設置駅にしぼった事故統計は、いまのところ発表されていない。あくまで参考でしかないが、2006年からの10年で設置駅は倍増(318駅→665駅、いずれも年度末時点)しているにもかかわらず、ホーム事故は06年(157件)から10年(222件)まで右肩上がり。それ以降も200~220あたりで、ほぼ横ばいとなっている。
とはいえ白書では「ホームドアは非常に効果が高い」とされているので、あくまで参考の数値でしかなさそうだ。
「視覚障害者等を始めとしたすべての駅利用者のホームからの転落を防止するための設備としてホームドア(可動式ホーム柵含む。)は非常に効果が高く,その整備を推進している」(白書より)
政府は「交通政策基本計画」(15年2月閣議決定)で、東京五輪が行われる20年度までに、ホームドアを800駅へ設置する目標を定めた。JR東日本は16年4月までに、山手線23駅にホームドアを整備し、今後は京浜東北線への導入も予定。私鉄各社でも導入が進められているホームドアの「効果」に期待したい。