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シンプルだけど強烈! 小笠原村観光局のセンス良いPRパネル

松葉 純一

松葉 純一

2016.06.30 06:00
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2016年6月22日、次のような写真付きのツイートが投稿され、注目を集めた。

写真は小笠原のポスター(実際にはパネルボード)。東京都港区にある島嶼会館に貼ってあったという。「小笠原のポスターはいつもなかなか素敵です」というコメントが添えられている。

ポスターは、黒い地に白抜き文字で大きく「1位」と書かれている。そして、その下に書かれているのは......?

小笠原さん、夜がすごいんです。

いったいこれは何だろう?

9枚でワンセットの企画

続きがあった。小さな文字で読みづらいが、実はこう書かれている。

小笠原諸島の星空は、2年連続で全国1位に選ばれました。

......なるほど!と、ここで種明かしがされている。

3種類の大きさのコピーが用意され、一番大きな文字のキャッチコピーで人々の心をつかみ、中くらいの大きさのコピーで好奇心をかき立て、一番小さな文字のコピーでようやく種明かしをする、という巧妙な構成だ。

小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)
小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)

このパネルについて、小笠原村観光局の根岸康弘さんに話を聞いた。

「これは、展示用のパネルボードです。2年前に開催されたあるイベントのために制作したものです」と、根岸さんは語る。「小笠原トリビアと呼んでいます。小笠原について、『なにこれ?』『こんなこと知ってる?』というような豆知識、雑学のようなものを集めました」。9枚で1セットのシリーズになっているらしい。

「小笠原村が参加するイベントに来てくれた人に見てもらい、興味を持ってもらうために作りました。口コミで伝わってくれればいいなと思っていましたが、インターネットでこんなに拡散するとは......、想定外でしたね」と根岸さん。

小笠原トリビアの例をもう一つ、挙げておこう。

小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)
小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)

大きく書かれているのは「1月1日海開き」、中くらいで「つまり、365日泳げるってことです」とあり、小さく「小笠原諸島では1年を通して海に入れるため、毎年1月1日に海開きをしています。」である。

根岸さんはこう話す。「世界中には数多くの世界自然遺産がありますが、首都に世界自然遺産があるのは極めて稀です。しかし世界遺産登録以降も首都東京に亜熱帯の自然があるという事実は、残念ながらまだあまり知られていません」。

「従来、小笠原はダイビングや釣り、ドルフィンスイム、ホエールウォッチングなど目的性の高い人々による口コミを通して、知る人ぞ知る観光地として発展してきました」。

根岸さんに、小笠原トリビアのパネルをモノクロにした理由について、聞いてみた。

「小笠原の自然の素晴らしさ、色彩の複雑さは、プリンターではとても再現できないと思ったのです。あえてモノクロにして、想像力をかき立ててもらいたいと考えました」と根岸さん。「そのために、文字の大きさなど隅々にまでこだわり、より印象の強いものに仕上げました」。

小笠原トリビアの例をさらにもう一つ......。

小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)
小笠原トリビア(画像提供:小笠原村観光局)

大「(船のイラスト)/1week」、中「一週間帰れないってことは、一週間休めるってことです」、小に「竹芝との定期便は、ほぼ週一便です。最短でも5泊6日となります」とある。

週1便とは、東京港竹芝客船ターミナルと父島を結ぶ定期船「おがさわら丸」のことだ。7月2日から新しい船「三代目おがさわら丸」が就航する。大きさは1万1000トンで、二代目の1.6倍の大きさだ。定員も894名と増える。

週1便は変わらないが、所要時間が片道25時間半から24時間に短縮される。出港時刻が現在より1時間遅くなり、午前11時出発となる。東京に前泊をしなくても出港時刻に間に合う人も増えるだろう。所要時間短縮の効果は大きい。

2011年に世界自然遺産に登録され注目を集めてはいるが、小笠原トリビアではあえて「世界自然遺産」を強調していない。「世界遺産」という冠を外すことで見えてくる、小笠原本来の魅力も大きい。

小笠原トリビアの拡散と「三代目おがさわら丸」就航が、小笠原観光にとって大きなブレイクスルーのきっかけとなるかもしれない。

小笠原諸島・父島(Anagounagiさん撮影、Wikimedia Commonsより)
小笠原諸島・父島(Anagounagiさん撮影、Wikimedia Commonsより)

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