思わぬ反響呼んだ「モンスター嫌煙者」記事 なぜタバコはこんなに叩かれる?
日本人の「議論下手」が露呈するタバコ問題
ネットでの炎上問題などに詳しい、ITジャーナリストの井上トシユキさんに聞いた。
井上さんはこうした「不毛なやり取り」が起こる原因として、
(1)日本人が元々、ディベート的な議論に慣れていないこと
(2)特にネット上では、細かなニュアンスが伝わりづらいこと
(3)マイノリティーをなかなか認めない傾向があること
などを挙げる。
「自分と異なる少数派の意見にぶつかったとき、それをいったん受け入れて妥協点を探るのではなく、小さな声を大勢の声でかき消してしまう。そうしたやり取りが特にネット上では『議論』の態度として根付いてしまっている感があります。タバコにしても、政治的な問題にしてもですね」(井上さん)
中でもツイッターなどは、意見や考え方を同じくする人たちばかりが集まって「タコツボ」化しやすく、いざ議論になったときの発言を先鋭化させがちだ。ネットに限らず現実でも、たとえば「さとり世代」などには、「理解できなさそうなものは最初から理解しない、ないものとして振る舞うため、ひとたび異なる意見とぶつかると反応が大きくなる傾向があります」と井上さんは分析する。
大切なことは、「自分がやられて嫌なことは、他人も嫌」という原則を、お互いが心に留めておくことだという。賛成派も反対派も、双方が快適な着地点を意識する――そうした姿勢が、実りある議論を行うために必要なことだと井上さんは語った。