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思わぬ反響呼んだ「モンスター嫌煙者」記事 なぜタバコはこんなに叩かれる?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.12.01 11:03
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「非常に不愉快な記事です」――編集部に届いたメールは、そんな書き出しから始まっていた。

画像はイメージです(DucDigitalさん撮影、Flickrより)
Smoking is madly bad for your health

「不愉快」だというのは、Jタウンネットが2015年11月20日に公開した「モンスター嫌煙者」についての記事だ。タバコOKの場所であっても、非喫煙者から苦情を言われることが増えている......そうした喫煙者からの声を紹介したところ、予想以上の反響があり、2015年11月27日放送のテレビ番組「バラいろダンディ」(TOKYO MX)でも大きく取り上げられた。

非喫煙者「喫煙者は一つ大きな勘違いをしている」

配信先サイトなどのコメントは累計7000件を超え、総じて「自分も同じような経験をした」「さすがに喫煙者がかわいそう」という肯定的な反応が多かった。だが冒頭に挙げたメールのように、かなり厳しい批判も少なからずあった。続けて引用しよう。

「喫煙者は一つ大きな勘違いをしていると思います。『禁煙じゃない場所=喫煙所』ではないのです。禁煙じゃないからといって、『遠慮会釈無く無制限にタバコを吸っていい場所』ではないのです」

たとえば飲み屋のカウンターなどは、この読者の言葉を借りれば「相席」に近い環境だ。そんな状況で周囲への気遣いなくタバコを吹かす喫煙者には「擁護に値する理由は何一つない」とメールは断じ、編集部に対しても「非常に不見識であり、公平性を欠く」と厳しい批判が並んでいる。

ほとんど「宗教戦争」と化したコメント欄

上記のメールはまだ、喫煙者に「配慮」を期待する内容ではあったが、もう1つのメールは、さらに手厳しい。

「『嫌煙者とのトラブル』よりもどう考えても『喫煙者とのトラブル』の体験談のほうが多いわな。
ポイ捨てするのも喫煙者
条例破るのも喫煙者
犯罪率が高いのも喫煙者
トラブルの種はいつも喫煙者
そして自分が悪いことしてるのに逆ギレするのが喫煙者」
「『いじめ』とか書いちゃって(※編注:前回の記事で「タバコいじめ」との表現があった)、普段から煙で他人を暴行してるのは誰かな? 人としての誇りと尊厳があればタバコ擁護みたいな記事は絶対に書けないと思うんだけどな」

一部のみを掲載させていただいたが、原文では喫煙者に対し、一切容赦のない内容がひたすら続く。

これに限らずツイッターなどでも、ほとんど「喫煙者は犯罪者だ」と言わんばかりの声がちらほら聞かれる。喫煙者の側からも、たとえば上記の「バラいろダンディ」で「吸っていいところにタバコ吸わないヤツがいること自体間違ってるんだよ!」と吠えまくった俳優の梅沢富美男さんのような反論もあり、双方のかみ合わない罵倒合戦、いわゆる「宗教戦争」の様相を呈してしまった。

マナー、動物、子育て...なぜ議論はかみ合わない?

以前からJタウンネットでは、読者の体験談や反響を積極的に取り上げてきた。だが、テーマによっては、議論が「泥沼」になってしまいやすいものがある。

いくつか挙げると、

・マナー
・動物、ペット
・子育て
・差別
・世代論

共通するのは、総じて発言する人が、自分の側に「正義」があると確信していることだ。今回のタバコ問題は、そのわかりやすい例といえるかもしれない。一度このパターンに入ると、お互いの主張は平行線をたどり、まったくの不毛なやり取りに終わってしまう。

日本人の「議論下手」が露呈するタバコ問題

ネットでの炎上問題などに詳しい、ITジャーナリストの井上トシユキさんに聞いた。

井上さんはこうした「不毛なやり取り」が起こる原因として、

(1)日本人が元々、ディベート的な議論に慣れていないこと
(2)特にネット上では、細かなニュアンスが伝わりづらいこと
(3)マイノリティーをなかなか認めない傾向があること

などを挙げる。

「自分と異なる少数派の意見にぶつかったとき、それをいったん受け入れて妥協点を探るのではなく、小さな声を大勢の声でかき消してしまう。そうしたやり取りが特にネット上では『議論』の態度として根付いてしまっている感があります。タバコにしても、政治的な問題にしてもですね」(井上さん)

中でもツイッターなどは、意見や考え方を同じくする人たちばかりが集まって「タコツボ」化しやすく、いざ議論になったときの発言を先鋭化させがちだ。ネットに限らず現実でも、たとえば「さとり世代」などには、「理解できなさそうなものは最初から理解しない、ないものとして振る舞うため、ひとたび異なる意見とぶつかると反応が大きくなる傾向があります」と井上さんは分析する。

大切なことは、「自分がやられて嫌なことは、他人も嫌」という原則を、お互いが心に留めておくことだという。賛成派も反対派も、双方が快適な着地点を意識する――そうした姿勢が、実りある議論を行うために必要なことだと井上さんは語った。

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