秋葉原の謎...万世橋の「小部屋&船着き場」は何のために作られた?【前編】
ブラタモリでも登場した万世橋誕生秘話
同書には、2つの説が提示されている。
(1)トイレ
(2)川の水位計などの器具置き場
また、『東京今昔橋めぐり』(ミリオン出版、2013年刊)という別の書籍には、
(3)東京地下鉄建設時に使われた機械室
という、上記2つとはまた別の説がある。Wikipediaの「万世橋」の項目も、(3)説だ。
まず(1)。前述のとおり、南東側の小部屋の上には、現在公衆トイレが設置されている。元の小部屋をつぶしてトイレを作ったということは、その小部屋もトイレだったのでは――確かにありそうな話に思える。
次いで注目したいのは、(3)。
実は万世橋のちょうど真下には、東京メトロ銀座線が並行して走っている。この区間の工事が行われたのは1929~31年。神田川の川底を横断するという一大事業で、そのトンネル掘削は東京市(当時)の手により、ちょうど架け替えが決まっていた万世橋建造と並行して進められた。この難工事に当たり、採用されたのがトンネルの上に万世橋を「乗っける」工法だ(ちなみにこの工事は、「ブラタモリ」でも紹介されたことがある)。
上記の図は、『東京地下鉄道史』(1934年)から引用したもの。こうして見ると、トンネルと橋が「一体」の構造であることがわかる。
前置きが長くなったが、こうしたトンネル工事のため、作業スペースとして件の小部屋や、付属する船着き場が作られた――この説も、かなり説得力はある。
果たして真相は......? 調査を進めた探検隊は、ある有力な情報と出会うことになる。
【後編に続く】