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これが研究者の本気。京大チームが数理モデルで導き出した「おみやげに最適な八ッ橋」が意外

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.03.29 11:00
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画像はイメージです(WordRiddenさん撮影、Flickrより)
Green tea and yatsuhashi

今や京都土産の定番とも言える「(生)八ッ橋」だが、観光客などからは「どの店で買えばいいのか分からない」との悩みも漏れ聞く。それもそのはず、「聖護院八ッ橋本店」や「井筒八ッ橋本舗」などの有名店を含め、市内で八ッ橋を取り扱う店舗は膨大に存在するからだ。

しかし、そんな悩みを打ち消す「最適解」が京都の誇る知の集積地、京都大学から提示された。

京栄堂と聖護院八ッ橋総本店が最もお土産に相応しい

京大大学院情報学研究科・工学部情報学科の研究者が14年10月に発表した学術論文「私たちはお土産にどの八ッ橋を買えばよいのか」(英語タイトル「The 1stAll Japan Yatsuhashi Championship, 2014」)がネットで話題となっている。

論文は鹿島久嗣・京大教授(知能情報学専攻)の研究チーム8名が発表したもので、現在研究室のウェブサイトから無料で閲覧できる。

問題関心の所在に「八ッ橋にはかなり多くのブランドがあるため、我々はどれを買えばよいのかという問題にいつも悩まされている」ことを挙げ、どの八ッ橋が最もお土産に相応しいか「数理モデル」で検証している。

画像はイメージです(ehnmarkさん撮影、Flickrより)
kiyomizu-dera-omiyage

研究チームの選んだ11ブランドを9人の評価者が試食し、「数理モデル」に基づいた計算式で結論を導き出す。取り扱う八ッ橋は最もメジャーなつぶあん入り生八ッ橋のニッキ味(編注:シナモン味)とした。

選ばれたブランドは「聖護院八ツ橋総本店」「本家西尾八ッ橋」「遠藤魁春堂」「おたべ順正」「井筒八ッ橋本舗」「御殿八ッ橋本舗」「京栄堂」「佐々木製菓」「八ツ橋屋西尾為忠商店」「本家八ツ橋」「御車八ッ橋総本舗」の11個。

「評価者は無限に八ッ橋を食べられるわけではないし、また無限の八ッ橋を購入するお金を準備することもできない」として、食べたものから順に味を比較していく「漸進比較法」を検証方法に採用した。この方法であれば、全ての八ッ橋の味を覚えておかなくても、大量の八ッ橋を食べなくても、「最適解」が導けるのだという。

そして検証の結果、京栄堂と聖護院八ッ橋総本店が最もお土産に相応しいと結論づけている。

京栄堂の八ッ橋ってどんなの?

このうち、聖護院八ッ橋については、業界でもトップクラスのビッグネームだ。市内の主要観光地でも、容易に入手することができる。

一方の「京栄堂」の方は、聞いたことがないという人も多いだろう。こちらは京都の中心部から少し離れた山科区(東西線「椥辻駅」が最寄)に本店を持つ。論文でも指摘されているが、市内の数店舗でしか取り扱いがないようだ。なお通常の生八ッ橋に加え、どら焼きと同様の生地を使った「つつみ生八ツ橋 去来花」という変わり種も手掛けている。いずれにせよ、独自のアプローチならではのセレクションだ。

「しっかりとした実験に基づいた論文だ...」

論文では「時間はないが確固たるエビデンスに基づいて美味しい八ッ橋を求める方は聖護院八ッ橋を、誰もが知っている京都の代表的なお土産である八ッ橋の中でも一味違うところを見せつけていきたい方は京栄堂の八ッ橋を、それぞれお土産として買って帰られるとよいのではないかと考えられる」と提案している。

意表を衝かれるユニークな内容に、ツイッターには

「長年の悩みが解決する」
「ちゃんと分析しとる!」
「しっかりとした実験に基づいた論文だ...」

と驚きの声が続々寄せられた。

論文の最後では、こしあんや抹茶あんのもの、生地に抹茶を練り込んだものなど「ニッキ味のつぶあん入り生八ッ橋以外の八ッ橋」の食べ比べという次なる研究の方向性が示されている。

さらに、こう付け加えた。

「芋けんぴ、みたらし団子、あるいは天然水など我々の身の回りには選択が悩ましいものが溢れている。これらの選択における本研究の方法論の適用可能性は未解決の課題である」
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