雪の中が仕事場!知られざる真冬のりんご農家さん
りんごの生産量日本一を誇る「青森県」。
特に「弘前」の生産量は日本のりんごの2割を作り出すというから驚きです。
冬は雪に閉ざされるため、りんごの収穫は年内にすべて終わります。
そのため今皆様の手元に流通しているものは、冷蔵庫で湿度・温度を管理した貯蔵品。
では今の時期りんご農家さんは暇なのかと思いきや、極寒の中、衝撃の仕事が待ち構えていました。
雪をかき分けりんご畑へ
東京から新幹線で3時間半。飛行機だと1時間半なのですが、悪天候で欠航の恐れがあったのでこちらのルートを選択。
到着したスタッフも真冬の青森は初めて。
りんごが樹になっている時期は何度か取材に訪れたことはあったのですが...
道も街も雪だらけ!まさに雪国。
寒さにも雪にも驚き「本当に取材が出来るのか...」と少々不安もよぎりました。
今回案内して下さる「岩木山りんご生産出荷組合」の木村組合長にも、
「真冬にりんご取材に来た物好きは初めてだ」
などと言われながら、雪の降る中、現場に向かいます。
木村さんは雪山の前で車を止め、のこぎりやハサミを持ち、おもむろに登って行きました。
付いて行くとそこには雪に閉ざされたりんご畑が。
前面に広がる畑にはもちろんりんごは一つも実っていません。
一体どんな取材になるのでしょうか...
極寒の中の「剪定作業」
この日の最低気温は-5度。比較的暖かい方だということですが、この環境の中行われるのが「剪定(せんてい)作業」。
放っておくと伸びたいだけ伸びてしまうので、まだ雪解けの始まる4月まで、地道にこの剪定作業を続けるそう。
木村組合長は「一年で最も重要な作業」と言います。
ダウンコートに厚手の長靴で取材していましたが、ものの数分で体の芯まで冷えてしまいます...!
次の収穫に向けて
5月中旬には満開になり、11月ごろには収穫を迎えます。
「岩木山りんご生産出荷組合」では『葉取らずりんご』という光合成を高め、味わいを増したりんごの生産を行っています。
そのため次の年に向けて1つの実に対してどれだけの葉っぱを付けるのか、といった緻密な計算の元剪定作業も行われています。
日本のりんご独特の形に樹を仕立てる
実は、この剪定作業は日本独特の作業で、欧米では自然のままに伸ばし、伸びすぎたら切り倒し新たに植える、という繰り返しを行います。
そうすると樹の外側でしか採れないのですが、それでも十分な収穫量があるのです。
しかしながら国土の狭い日本ではそうはいきません。
限られた土地の中でどれだけ収穫できるか...
そのために、太陽が当たる面積を増やすことで、木の外側でも内側でもどこで実ってもおいしくなるように育てるのです。
目の前に広がる広大なりんごを、農家さんは毎日少しずつ手入れをしていきます。
特に『葉取らずりんご』の剪定となるとその技術を身に着けるまで数年かかります。
さらには高齢化により段々と人手が少なくなってきているとか...
組合長も自分以外の畑も積極的に剪定し、地域としての品質を向上させることに努めているそうです。
あまり表に出ることの無い冬のりんご農家さんの姿。
今は樹には無くとも、収穫の季節においしい実を結ぶための努力は、こんな雪の中でも続けられていました。
これまで何気なく食べていたりんごでも、雪国の農家さんの姿を思い浮かべながらだと、おいしさもひとしおではないでしょうか。
今回の筆者:うまいもんドットコム
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