落ちても拾いやすいから? 節分に落花生をまく地域
「鬼は外、福は内」のかけ声とともに豆をまく節分は、2月を代表する風物詩。古くから行われている行事だけに、地域によってはお祭りも開かれるなど盛んです。
節分で投げる豆といえば大豆……だけではないことを知っていましたか? at home VOXで行った全国アンケートによると、一部の地域では「殻付き落花生」をまいていることがわかりました。
まずは、何をまくかの回答結果を見てみましょう。
Q.節分に何をまきますか?(「節分に家で豆まきをしますか?」という質問に「はい」と答えた598名対象、複数回答可)
順位
まくもの
回答率
1位
大豆
73.4%
2位
落花生(殻付き)
29.8%
3位
小豆
3.0%
4位
チョコ
2.7%
5位
落花生(殻なし)
2.3%
大豆と答えた人は73.4%、殻付き落花生は29.8%と、全体の数字だけ見るとやはり大豆の方が多いですね。
これを47都道府県別に見ると、殻付き落花生が多数派のところがあります。大豆の回答が多かった地域と落花生の回答が多かった地域で色分けした日本地図がこちら!
大豆よりも殻付き落花生をまくと答えた人が多かった地域は、北海道・東北地方(山形を除く)・新潟・長野・宮崎・鹿児島でした。実際の回答率も見てみましょう。
「Q.節分に何をまきますか?」の大豆と落花生(殻付き)の回答率(複数回答可)
地域
大豆の回答率
落花生(殻付き)の回答率
北海道
12.5%
68.8%
青森県
8.3%
100%
秋田県
7.1%
92.9%
岩手県
25.0%
81.3%
宮城県
28.6%
92.9%
福島県
42.9%
64.3%
新潟県
58.3%
75.0%
長野県
50.0%
55.0%
宮崎県
44.4%
72.2%
鹿児島県
26.7%
80.0%
青森はなんと100%! 秋田・宮城も90%以上にのぼりました。北の地域ほど大きな差がついているのが目立ちますね。ちなみに、東北地方で唯一、山形は大豆派でしたが、回答率は大豆が55.6%、殻付き落花生が38.9%と、落花生派もそれなりにいました。
さて、これらの地域では、なぜ落花生をまくのでしょうか? 一般財団法人 日本落花生協会では、次のような見解を示しています。
・日本で落花生の栽培が始まったのは明治初期なので、明治以降に豆まきで落花生が使われるようになったことは間違いない。
・記録がないため正確な時期はわからないが、北海道では国内での生産が拡大した昭和30~40年代に大豆から落花生に替わってきたとも言われている。
・雪の多い地域で使う割合が高いのは、雪の中に撒いた豆を拾うのは落花生の方が楽だし、後で食べることを考えると殻に入った豆の方が衛生的だからでは?
※出典:一般財団法人 日本落花生協会「落花生お役立ち情報―落花生アラカルト―豆まきについて」「落花生お役立ち情報―落花生―豆まきに落花生が使われたのはいつ頃からですか。また、使われている地域はどこですか?」より
確かに、殻が付いたままの落花生なら雪に落ちても見つけやすそうですね。しかし、そうなると今回のアンケート結果で落花生派の多かった宮崎と鹿児島は…?
農林水産省による落花生の都道府県別生産実績の統計によると、実は鹿児島は落花生の作付面積が全国4位(平成25年)。西日本では随一の面積を誇っています。そんな生産事情も要因の一つでしょう。(ただし、1位の千葉は鹿児島のおよそ36倍ですが、落花生派は6.3%でした…)
また、鹿児島といえば桜島の火山灰。拾って食べるなら、より衛生面が気になるかも。そもそも、まいた後に拾って殻をむいて食べるというところから、合理的な県民性もうかがえます。
なぜ落花生なのか、その理由ははっきりとは分かりませんが、アンケートでは4位に「チョコ」、他にもわずかながら「あめ玉」「ミルキー」といった回答もありましたから、思いのままにいろいろなものをまいているようです。「何かを投げること」を重視しているのでしょうね。
さぁ、何はともあれ、邪気を払って福を呼び込みましょう!
イラスト:タテノカズヒロ
<アンケート調査概要>
対象/全国20〜59歳の男女1,410名(47都道府県各30名ずつ)
調査方法/インターネットリサーチ
調査時期/2014年11月
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