「普通の人が、普通のこととして田舎暮らしを楽しむ時代が来た」 ふるさと回帰支援センター・高橋公代表理事に聞く(前編)
田舎を選ぶ若者は人間的な魅力がある
――地方移住といえばシニア世代のイメージが強かったですが、相談者の年齢は様変わりしているそうですね。
高橋 従来はどちらかといえば50・60代が多く、特に2008年頃までは60・70代が多かったですね。ところが昨年は40代が半分以上以下が60%以上。東日本大震災発生以降、とりわけ子育て世代が増えています。
またリーマンショックで若者がぐっと増えました。あの頃は57~58%くらいの就職率で、あぶれた人たち、自分の希望する職に付けなかった人たちが地方に向かいました。意外にも彼らは高学歴が多く、東京大学や京都大学はざらにいます。有機無農薬の野菜を作りながら地方で頑張っているなど、地域に新たな発想を持ち込んでいる。そういう傾向があります。
――国立大学トップの東大・京大ですか。
高橋 田舎暮らし希望者は、金儲けではなく、別の価値観で生きる人が多いです。私から見ると非常に好ましい傾向で、人間的な魅力のある人が多い。
田舎に戻るというとマイナスなイメージがありましたが、「ちょっと東京でうまくいかなくて...」というのがなくなりました。普通の人が普通のこととして田舎暮らしを楽しむ時代になっている。
――都会から地方に移り住んだ人はうまくやっているのでしょうか。
高橋 地域おこし協力隊などの形で地方に入った人たちって、結構カルチャーショックを受けるみたいですよ。「地域のおじさん・おばさんたちがえらく面倒見がいい」と。たくさんできた大根なんかを玄関に置いてあったり、ちょっと手伝うとお返しをもらったり。稲刈りを手伝ったときは、「米ができたよ」って20キロ持ってきてくれる。非常に居心地がいいと。
東京にいると隣の人は誰だか分からない。ところが地方に行ってみるとコミュニティがちゃんとある。衝撃を受けた人がハマるケースは多いようです。