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「修学旅行=九州」なあなたの出身地は...? 西日本出身者に聞きました

Jタウン研究所

Jタウン研究所

2014.10.24 08:00
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1954年4月、日本初の「修学旅行専用車両」155系電車がデビューした。品川→京都へ出発・帰着する列車は「ひので」、神戸・大阪・京都→品川は「きぼう」とそれぞれ名付けられ、ベビーブーム世代の中学生と付添いの教職員を運んだ。

限られた輸送力の中で「生徒たちをまとめて運ぶ」ことが当時は重要で、行き先の選択肢は限られた。

新幹線の開通で高まる九州人気

飛行機や高速鉄道、高速道路網が整備され、専用車両の時代が終わるとともに、その目的地は多様化しつつあるらしい――そんな傾向が、Jタウンネットの調査から浮き彫りになった。特に西日本では、九州の強さが目立つ。

SENRIGA-HAMA (Aso, Kumamoto, Japan)
阿蘇山(t-mizoさん撮影、Flickrより)

Jタウンネットが2014年5月8日から10月6日まで実施したアンケート「中学校の修学旅行の行き先、どこだった?」の結果は、西日本(関西、中国、四国、九州、沖縄)で得票率が最も高かったのが「九州」で37.2%。「関西」が20.3%、「東京」が13.6%と続く。

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東日本編ではあまり人気のなかった「甲信(山梨・長野)」が10.7%を獲得している。その他のエリアは5%以下にとどまっている。

中学校の修学旅行先で最も得票率の高かった選択肢を県別に色分けした(図表はすべて編集部が作成)
中学校の修学旅行先で最も得票率の高かった選択肢を県別に色分けした(図表はすべて編集部が作成)

京都の中学校の旅行先は幅広い?

次に府県ごとの傾向を見ていこう。

京都の修学旅行先で最も多かったのは「東京」で27.6%、次いで「甲信(山梨・長野)」が18.8%、「九州」が17.4%だった。「中部(愛知・静岡)」や「山陽」、「山陰」、「沖縄」「北陸」も票が入ったが、「東北」と「四国」は0票。
大学の多い京都は全国から学生が集まるので、地元中学校の実態と多少ずれている可能性は否定できない(これは後述の大阪にもあてはまる)。

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同じ古都でも奈良になると旅行先は絞られる。「東京」と「九州」が得票率33.3%で同率トップ。次いで「甲信(山梨・長野)」が11.1%を占める。

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大阪の傾向として、(1)東京の得票率が14.8%で「九州」「甲信(山梨・長野)」よりも低いこと、(2)北海道を除く全ての国内エリアに票が入っている=旅行先が分散していること、(3)飛行機利用じゃないと厳しい「沖縄」が3.7%と善戦していること、などが挙げられる。

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広島では「東京」はほとんどない?

関西よりさらに西の地方になると「東京」の得票率はぐっと下がり、「関西」と「九州」が旅行先の人気を2分している。

平和学習の拠点として多くの中学生を集める広島。「関西」「九州」「沖縄」の得票率の合計は87.5%に達する。一方で「東京」は1票も入らなかった。鉄路で約900キロも離れており、ちょっと遠すぎるのかもしれない。

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広島の西隣の山口も「関西」と「九州」が2大旅行先なのは変わらない。ところが、「東京」が6.3%を獲得している。
明治維新以降多くの有力政治家を輩出した山口。時間と費用がかかっても、中央=東京に行きたいという中学校があるのだろうか。

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九州志向の強い四国だが、愛媛は例外

本州四国連絡橋ができてから四国と中国・関西地方の距離はぐっと縮まった。そのため、関西方面の修学旅行は小学校のうちに済ますところもあるようだ。四国の中学校は九州志向が強い。
ただし愛媛だけは「関西」の得票率が70.7%に達する。

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福岡の中学校が熱視線を送るのは...関西

佐賀・長崎・宮崎・鹿児島、そして沖縄の得票率トップは「九州」。同じ九州内を旅行先に選ぶ傾向が高い。ところが、九州最大の都市・福岡は「関西」の得票率が53.4%に達する。

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特異なケース...といっては失礼だが、熊本の旅行方面トップは「山陽」で40.0%。同地方の得票率が30%を超える県はほかにない。似たような距離にある山陰や四国に票が入ってもよさそうなものだが、両地方も得票はなかった。

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営業努力で修学旅行客を回復させた京都

3週にわたって全国中学校の修学旅行先事情を解説したが、九州人気の高まりと京都ブランドの強さが光った。

実は京都市の年間修学旅行客は一時、100万人を割ったことがある。これに危機感をもった市は、旅館組合や旅行会社と連携して誘致活動を展開、2012年は110万人まで回復した。これは全国の修学旅行の約32%を占める。

修学旅行の利益率は高くないけれども、成人後もリピーターになってくれれば十分に元がとれる――そうにらんでいるのだろう。

一方、京都以外の各地も(たとえば埼玉・秩父など)、同様にリピーター獲得戦略に力を入れている。
また、今回強さが目立った九州については、2011年3月、九州新幹線の鹿児島ルートが全線開通したばかり。国交省九州運輸局が2013年に公表した資料「九州新幹線をめぐる状況について」によると、修学旅行先を九州にする学校が、北陸や関西、中国、九州内に増えている。

子どもにとっては一生の思い出となる修学旅行。その行く先をめぐる競争は、今後ますます激しさを増しそうだ。

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