一時は全県制覇したのに...家電量販店「コジマ」がない県が増えている
2014年5月22日に山形新聞が報じたところによると、栃木県宇都宮市に本社のある家電量販店「コジマ」が山形県内の2店舗を閉鎖し、同県から完全撤退するという。
庄内地方の三川町にある「NEW三川店」は6月8日、山形市の「NEW山形店」は同29日にそれぞれ閉店する。既に処分セールが始まっており、地元の買物客が来店している。
閉店のワゴンセール飽きないなw @ コジマ NEW三川店 http://t.co/kSZ1KJ2mld pic.twitter.com/5ROszAaBoM
— Nao_J (@delpippo14) 2014, 5月 11
ワゴンにウハウハしております。 (@ コジマ NEW山形店) http://t.co/IPV5Eb8n01
— Kubota Yoshiyuki (@kubo78) 2014, 5月 21
県内の家電量販店は、ケーズデンキ(茨城県水戸市)とヤマダ電機(群馬県高崎市)が2大勢力だ。例えば山形市内ではそれぞれ大型店舗を2カ所有する。
<ケーズデンキ>
・山形北本店(店舗面積5787平方メートル)
・山形本店(4959平方メートル)
<ヤマダ電機>
・テックランド山形本店(4127平方メートル)
・テックランド山形南店(2652平方メートル)
北関東から飛び出し、一時は「全国制覇」したものの...
ヤマダ電機、コジマ、ケーズデンキの3社は頭文字をとって「YKK」と呼ばれ、北関東でしのぎを削り、やがて全国へ展開していった。その先陣を切ったのはコジマだった。
コジマが山形に進出したのは1980年代後半、日本がバブル経済に沸いていたときだ。急激な円高でメーカーは輸出から内需へ軸足を移す。メーカーからノルマを課されていた販社は、様々なルートで商品を家電量販店に供給した。
さらに日米構造協議を受けて改正大店法が施行され、1994年に1000平方メートル以下の出店は原則自由になる。「北関東のコジマ」から東北、千葉、埼玉、そして西日本へと出店攻勢をかけ、1997年には家電量販業界で売り上げナンバーワンにのし上がった。
しかし、コジマの天下は長くは続かなかった。2002年には売上高でヤマダ電機に抜かれた後は経営が低迷、2012年にカメラ系量販店「ビックカメラ」(東京都豊島区)の子会社になった。
「安値日本一への挑戦」「安値世界一への挑戦」を掲げながら、劣勢を余儀なくされた要因について、メディアなどでは主に3つの点が分析されている。(1)小型店舗での出店を急拡大したため大型店舗時代に取り残されたこと、(2)ライバルのヤマダ電機のような低コスト経営に後れをとったこと、(3)メインバンクの足利銀行が破たんして悪影響を受けたことだ。
従来の家電量販店は店舗面積500平方メートル級の店舗が主流だったが、今や1000平方メートル以下は小型店の扱いだ。大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された2000年以降は、3000~4000平方メートル級の大型店舗が標準となる。コジマは小型店舗を統合し大型店舗をオープンする「スクラップ&ビルド」を実施したが、多額の費用と年月を要し、経営の足を引っ張った。
せっかく2008年3月に松江店(島根県)のオープンで全県出店を果たしたが、山形県を含め18県から撤退することになる。「無コジマ県」となったのは、(山形、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、奈良、鳥取、島根、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島)。全県から撤退した四国のほか、中部、九州などでの撤退が目立つ。残ったところも県内に1店舗だけというケースも少なくない。今後はビックカメラ色を強めつつ、固定客の多いエリア中心に経営資源を集中させると見られる。