「三ツ星出身シェフ招聘」で再生成功! 道の駅「成功」のアイデアとは
ゴールデンウイークを直前に控えたこの時期、全国各地で道の駅が続々オープンしている。既存の休憩施設が認定・登録されるケースも含め、2014年3月1日から4月24日までの間に11カ所が道の駅として供用開始した。
さらに26日には全国で3カ所がオープン。加えて開駅準備中の施設は11カ所あり、合わせて現在1030カ所が道の駅として国土交通省に登録されている。
設置を希望している自治体はほかにもあり、最終的に1300駅程度まで増えるのではないかと言われている。
年間売上は16億、地産地消率99.9%
道の駅とは本来、ドライバーのための「休憩機能」、道路情報や観光情報を提供する「情報発信機能」、文化共用施設や観光レクリエーション施設などを備えた「地域連携機能」の3つを備えた施設とされている。
ほとんどは地元の農・海産物や加工品の販売所とレストランを併設していて、道の駅=農産物直売所+土産物売り場+食事処というイメージを持っている人も多いだろう。
福岡県宗像市にある「むなかた」は、2つの政令指定都市である北九州市と福岡市のほぼ中間に位置する。
普通のスーパーのようにサプライチェーンから仕入れるのではなく、地元の農家から農産物が直送される。周辺地域の農家は高齢で少量しか生産できないため、農協やサプライチェーンに出荷することが難しいが、「むなかた」なら農家が自分で作ったものをダイレクトに運んで販売することができる。また市内には4つの漁港があり、水産物の売上げは全体の約3分の1となっている。
豊富な地域資源と大消費地が近いという恵まれた立地を活かし、年間約16億円を売り上げているが、その99.9%が地元産品と「地産地消」が徹底されている。
閉鎖された駅が復活した理由は?
一方で売上が光熱費すらまかなえないところも出てきている。高知県土佐清水市の「めじかの里土佐清水」は、2013年3月いっぱいで指定管理者が撤退した。市は新たな指定管理者を探しているが今のところ見つかっていない。トイレは使用可能だが、早期の再開が望まれる。
利用者減少で指定管理者が撤退し、いよいよ終わりかというところで奇跡の復活を果たした道の駅もある。鹿児島県志布志市の「松山」は長年客足が伸びず、2013年3月から7月まで休館していた。編集部が休館中に志布志市の担当者に電話したときは、管理者探しに苦労している様子だった。
ようやく決まった管理者は福岡市に本社がある「フォックスカンパニー」。スイーツを売りにしたランチバイキングを展開したところ、一躍地元の女性たちの支持を集めた。今では駐車場に入るのに2・3時間待ちになることもあるという。
福岡の三つ星ホテルでパティシエシェフを務めた料理人の提供するメニューは、周辺の店では味わうことができない――というのが人気の秘密のようだ。道の駅としては大きくなく、小回りが利いた点も大きい。
規模拡大は吉とでるか、凶とでるか?
道の駅の制度がはじまったのは1993年のこと。バブル崩壊の直後とはいえ各自治体の財政もまだ余裕があり、国や都道府県の補助を受けて立派な施設を建てたところもあった。
山口県阿武町の「阿武町」は国土交通省が最初に認定した駅の1つだが、老朽化した施設を建て直して4月20日にリニューアルオープンしたばかりだ。建築資材に県産の木材を使い、売り場面積を2倍に拡大している。
約11キロ離れた場所には、年間9億円以上を売り上げる「萩しーまーと」がある。萩しーまーとはターゲットを地元住民に絞り込み、全国からも注目を集める「成功組」だ(参考:「観光客は捨てる」道の駅の成功のために必要なこと)。両駅は競合関係にあり、阿武町が施設を一新したのも、萩しーまーと開業で落ち込んだ売上をピーク時の水準に戻す目的もある。
道の駅は過剰気味という声がささやかれる中、売り場拡大に踏み切った阿武町。リニューアルする施設は全国で今後増えていくと予想されるが、道の駅の将来を考える上で格好のモデルケースとなるだろう。
GWに行きたい!新設道の駅は?
なお、3月以降に新たに誕生した道の駅は以下の通り。
- 美里「佐俣の湯」(熊本県美里町)
- 虫喰岩(和歌山県古座川町)
- どんぶり館(愛媛県西予市)
- 津島やすらぎの里(愛媛県宇和島市)
- 風のマルシェ 御前崎(静岡県御前崎市)
- 西山公園(福井県鯖江市)
- なぶら土佐佐賀(高知県幡多郡黒潮町)
- 織姫の里なかのと(石川県那珂能登町)
- サシバの里いちかい(栃木県市貝町)
- 中山盆地(群馬県高山村)
- 天空の郷さんさん(愛媛県久万高原町)
≪4月26日にオープンする道の駅≫