「蜃気楼発生! ランクBです!」
富山湾に面する魚津市海岸は、日本屈指の「蜃気楼」(しんきろう)の名所として知られている。
蜃気楼は、大気中で光が屈折し虚像が見える自然現象で、気温や風などの条件が整わないと発生しない。当地で見られる確率が高い時期は3月下旬から6月初旬にかけてといわれる。しかも同じものは二度と現れない、ミステリアスな現象だ。
最近も目撃続出
今季は3月28・29日、4月2・3・9日にそれぞれ蜃気楼が確認されている。一番変化が大きかったのは4月3日だ。魚津市の海岸から黒部市生地方面を見たとき、堤防が二重化して巨大なワニのように見えた。また同海岸から富山市岩瀬方面の景色は、富山市の街並みが上部に伸びた形に見え、肉眼でも十分に観察できる状態になっていた。
ここまで読んで「機会があれば一度現地に行ってみたい」という人もいるだろうが、空振りに終わるのも嫌なもの。しかしご安心を。「蜃気楼の見える街」をキャッチフレーズに町おこしを図っている魚津市は、蜃気楼情報をウェブサイト「うおづ映像ライブラリー」で発信している。
蜃気楼情報というページでは、今後1週間の出現確率を予測・発表している。まるで天気予報のようだ。蜃気楼が出現しやすい2方向にカメラを設置し、ネット中継するサービスも実施している。過去の蜃気楼映像を集めたコンテンツもある。
メールでの「蜃気楼情報」も
さらにユニークなのは、蜃気楼現象を最上位のAから最下位のEまでランク付けしていること。先の4月3日の蜃気楼は今季最高のBランクだった。当初はCランク判定だったが、その範囲の広さなどから途中で「格上げ」されたのだとか。
「富山湾に蜃気楼発生! Cランク......いや、Bランクです!」
ちょっとロボットアニメみたいな雰囲気で、男の子心をくすぐるものがある。
閑話休題。上記のサイトでは蜃気楼の仕組みから発生しやすい気象条件、撮影のコツなども惜しみなく記述されているほか、またメールで発生情報を通知してくれるサービスもある。その充実度には脱帽するばかりだ。