「たいやきの顔」の男前さが気になって仕方がない
およげ!たいやきくんモデルの店
ここでふと疑問が浮かんだ。「たいやきはみな同じ顔と形をしているのか?」。思い立ったら行動せずにはいられない私、今度は麻布十番へ向かった。たいやきマニアなら知らぬ人はいない「浪花家総本店」で買うためだ。昭和の大ヒット曲「およげ!たいやきくん」のモデルになったのは店の2代目。現在は3代目が店を切り盛りしているという。
建物は新しいのだが、看板は老舗にふさわしく年季が入っている。店内にはたいやき職人が何人もいて、威勢のいい挨拶と笑顔で客を迎える。さあ注文しようと声を発する前に、店員さんが「すみません。30分くらいお待ちできますか? お名前をお伺いしますので」と申し訳なさそうに説明した。雨が降っていたので、どうしようか思案したが、近くのファーストフード店で待機することにした。
30分後店に戻って名前を告げ、ほどなく1尾でてきた。価格は150円。当たり前だが「まぐろやき」とは異なる形状だ。ごく標準的なボディで、鱗(うろこ)や目、口は若干かすれ気味。こちらの店は1尾ずつ鋳物の焼き型でたいやきを作っているようだが、焼き型を使い込んでいることが影響しているのかもしれない。皮から見える黒い部分はあんこ。味は食べて納得のおいしさだった。