東京・板橋の洋食店が困惑 「孤独のグルメ」で誤解広がる
検索すると「洋庖丁」=「アームロックの店」
実態はどうなのか。記者は大山町の「洋庖丁」を訪れて店主の佐久間康之さん(45)に話を聞いた。
「孤独のグルメ」に登場した怒鳴り散らす店主のモチーフとされた人は、昔1年間、雇われ店長をやっていた別の人だ。当時の店長は1995年に店をやめているうえ、後任として来た佐久間さんが1999年にチェーンから独立したため、まったく別のお店になっている。今となってはアームロックをするようなトラブルが本当にあったのか「知る由もない」という。
しかし、訪れたファンは佐久間さんを、作品中の店主と認識することも少なくない。ネットで検索すると「洋庖丁」=「アームロックの店」と出るからだ。
ドラマの新シリーズが始まったり、雑誌に漫画が掲載されたりするたびに、ファンが店にやってきて、料理や店内の写真を撮り、ブログに掲載する。原作中に店主が空手をしていることをほのめかすコマがあるため、「空手をやっているんですか」と聞かれたこともあった。
佐久間さんは「おもしろ半分できていただくと、うちが好きできていただけるお客様にちょっと」と困惑した様子だ。
漫画の悪いイメージがアルバイトの採用などにも影響し、応募者には「実際はそういうことはないから問題ないよ」と面接では伝えている。もっとも「孤独のグルメ」のイメージでなく、ひとつのお店としてなら撮影を断ることはないそうだ。