「常に準備をしておく!」ねじの教えに我が意を得たり。
「ねじの教え」我が意を得たり。
今年(二〇二〇年)の一月に日東精工という一部上場のねじメーカーで講演をする機会がありました。この会社は〝人財教育〟に力を入れられており『人生の「ねじ」を巻く77の教え』(ポプラ社)という書籍もあるのですが、ここの材木正己社長との食事の席で「準備」が話題になったおり「奥村さん、スピーチなんかで、突然のご指名でなどといいわけをする人がいるけれど、だいたい雰囲気でわかるもんでしょう。準備しとかなあかん。できない人ほど、急にいわれてもとか、聞いていませんでしたっていうけれど、いつ、いかなるときでも対応できる準備ができている人間がやっぱり成長しますね」という言葉にわが意を得ました。
二〇一九年四月に引退したイチロー。数々のメジャーリーグ記録を塗り替えた彼も、現役後半はレギュラーの座を獲得できなくなっていました。二〇一三年、ニューヨーク・ヤンキースでの最終試合、既にこの年、ヤンキースはプレーオフに出場できないことが決まっていたので、若手中心のオーダーで先発メンバーに入っていませんでした。ほとんどのベテランがスパイクも履かず、もうシーズンが終わったような気持ちでベンチにいたのですが、イチローだけは最後の最後まで試合に出る準備をしていたそうです。そしてこの試合は延長までもつれたのですが、イチローはベンチ裏で素振りをはじめた。その姿をベテランも若手も見てとても驚いたそうです。
いいときであっても、悪いときでも、自分に何ができるかを常に考え、そのための準備は怠らない、それがイチローのイチローたるところであるわけです。
第7回 SDGsと野球