「田舎では満足なチームはつくれない!」は、ほんとうか?~夢をかなえた少年からの手紙
「田舎は夢が夢のままで終わってしまうのです」
「少子化が進み選手が思うようにそろわない、満足なチームづくりができない」という話を聞いて、夢をあきらめないようにしてあげたいと考えました。
その方々が私が監督をする「宝塚ボーイズ」を見学に来られたのですが、すると「出身者にマー君がいて、全国大会出場常連チームなので、体の大きい、野球の上手なエリートばかりがいると思っていたけれど、ちっちゃな子もいれば、下手くそな子もいる。ただ、子どもたちの目の輝きが自分のチームと全然違う」と驚かれました。どうやったらこの目の輝きが生まれるかを考え、「では、小学生のチームに『宝塚ボーイズ』の中学生を派遣して野球の魅力を伝えましょう」ということで交流がはじまったのです。
中学生が小学生に何かを教えられるかなというスタンスではじめたのですが、じつは、中学生たちも、自分たちの役割分担をどうするか、得意分野や苦手なところを互いに整理し合ったりしながら成長しています。小学生に「教える」ということが、自分たちの「学び」にもつながっているのです。
そしてこの延長線上に「ベースボールスピリッツ杯」開催があるのです。
なぜ六年生の選抜かというと、同じレベルの選手が集まることでレベルアップする。またふだんは当たり前に試合に出場できた子が控えにまわることも起こり、ベンチでサポートを経験することもできるのです。
小学生の選抜チームの大会を「宝塚ボーイズ」の中学生たちがボランティアで支えることで、彼らが得られるものはとても大きい。そして、各地で小学校六年生だけの選抜チームをつくることで、選抜された子はいつも以上に強い、上手い選手と交流でき、ふだんよりも高いレベルで練習ができるメリットがあります。
もちろん、地域間格差があり、同じ小学校六年生の選抜チーム同士の戦いでも大差がつくことがあります。大差で敗けても、一年生もいるチームだからというようないいわけができない。実力の差を思いっきり味わい悔しい思いをすることもある。でも、それも小学生にとって大きな大切な経験となっていくのです。