こんな「そんたく」なら大歓迎!
昨年の流行語大賞が「忖度(そんたく)でした。加計や森友問題でネガティブな響きを持つようになりましたが「皆までいうな」「わかっていますよ」は日本人の美徳であり、相手が口にする前に求めること以上のことをしてさしあげるのは、ニッポンが東京オリンピックで世界に発信したい「おもてなし」に通じるものでしょう。
その本来の忖度の意味に近いサービスを山梨県の丹波山村がはじめています。「丹波山(たばやま)村民タクシー」、略して「ソンタク」です。
村役場といっしょに準備を進めたNPO法人「小さな村総合研究所」が運営。
登録していた「自家用車」にマグネットステッカーを張り着ければ「タクシー」に早変わり。事前登録された村民の方がボランティアドライバーとなり、自分の都合のいい時間帯を利用して、免許を返上したお年寄りの「ちょっと病院へ」や「バスの時刻に合わせられない登山客や観光客」の足になって活躍しています。
過疎の村、「限界集落」でなく「水源の里」と呼ぼう
高齢者の数が多くこのままではいずれコミュニティ維持が難しいと予想されるのが、いわゆる「限界集落」ですが、このネガティブな響きをもつ言葉をやめ「水源の里」と呼び換える取り組みがあります。
<上流は下流を思いやり下流は上流に感謝する>という理念のもと京都府綾部市を事務局に「全国水源の里協議会」が発足されていて、「水の源」という冊子が季刊で発行されています。当社も京都綾部の「水源の里」をテーマに書籍『限界集落が超☆元気になった理由』をまとめたことがご縁で、この「水の源」の編集もお手伝い。その関係で、上述の山梨県丹波山村を取材したのでした。
丹波山村は多摩川(丹波川)の源流、人口600足らず、首都圏でいちばん小さな村ですが、北海道や東北、関西、四国、九州などのそのエリアのいちばん小さな村に呼びかけて「小さな村サミット」(G7ならぬg7だそうです!)を開催したり「ビジネスアイディアコンテスト」を実施たり、小さなチャレンジをいくつも積み重ねています。
「ソンタク」もそのひとつで、ボランティアドライバーに10人にひとりの村民が登録しているというのですから、自分たちの暮らすところを良くしたいという、そのパワーには驚きですね。