「結婚3年目の記念に夫と二人で富士登山。体力に自信のない私は、下山中に足が痛くなり...」(愛知県・30代女性)
愛知県在住の30代女性・あいちさんはその日、夫と二人で富士山に登っていた。
朝早くから登り始めて、午後2時前ごろに無事登頂。
しかし、山を下りようとするときには体が悲鳴を上げ始めて......。
<あいちさんからのおたより>
2023年8月18日、夫と富士山に登りました。
わたしたちは前年の8月16日にも二人で富士山に挑戦していたのですが、その時は頂上まで行って下山するのには時間が足りなくなり、八合目で下山。
23年8月は結婚3年目を迎えた記念のタイミング。「今年こそ登頂したい!」と、前年とは違うルート、富士宮口から朝イチで登り始めました。
しんどい思いをしながら、なんとか...
上に行くほど空気が薄く、呼吸も荒くなり、なかなかしんどい思いをしながらも今年は登頂を成し遂げました。
私は体力にはそんなに自信がなく、ちょっと激しい運動をするとゼエゼエするくらいなので、登頂することが出来たのにはかなり感動しました。
さて、頂上で神社にお参りをし、おにぎりを食べた後は、暗くなる前に早く下山しなければと、40分程の滞在でサッサと引き返すことに。
しかし、頂上へ登るために使った筋肉は悲鳴を上げはじめ、岩から岩へ降りる度になかなかの激痛が走って......。
それでも我慢して下るしかないと、痛みに耐えながら下りていきました。
そして夫も、登る時に膝を使い過ぎたらしく、私以上に痛みを感じているようでした。
お互い痛みに耐えながらなので、下るのに物凄く時間がかかります。わたしたちを抜かして下山していった人たちが何十人もいたと思います。
口から出るのは「痛い、痛い」
夫は十数年前と数年前に2度富士山に登頂していて、その時は余裕で夕方には下山が出来たそうです。
だから、今回もそのつもりだったようで、午後2時半頃から下り始め、暗くなる前には五合目まで下山出来ると思っていて、ライトも持ってきていませんでした。
でも実際は登る時くらい時間を掛けて下りることになり、途中で日も暮れてきました。その時点で、往復で買ったバスの帰りの切符は諦めました。
ホテルも取ってあるので一刻も早く下山しなければなりません。けれど足が痛い。思うように進めない......。
そのうち、下山する人もいなくなりました。
19時半頃には、辺りは真っ暗。踏み外さないようにしなければ。
足の痛みに視界の悪さ、ますます降りるのに時間がかかる......。それでも降りるしかない。泣きそうになりながらも下っていきました。
今日のうちに下山出来るのだろうか、動けなくなって朝まで野宿することになるのだろうか、そんな嫌なことばかりを考えてしまう。口から出るのは「痛い、痛い」と訴える言葉だけ。それでも二人で、亀の歩みで下っていきました。
そんな時、後ろから久しぶりの下山者が現れたのです。頭にライトを付いていて、明るい。
「これ以上迷惑かけられない」という気持ちがパワーに
お子さん達と登山されていたらしいその方は「下山してるの?」と声を掛けてくださいました。
「そうなんですけど、足を痛めて早く下りられないので先に行ってください」と答えました。
しかし、「一緒に下りましょう」と言ってくださったのです。
お連れの方は、「ライト無いの?」と言って、スティックに装着できるライトを二人分貸してくださり、先導してくださいました。
痛みに耐えながら歩くのでめちゃくちゃ遅いのに、それでも今までのスピードよりは早くなりました。
一緒に下りてくださってるのに、痛いなんて言ってられない、これ以上迷惑を掛けられないという思いから、少しパワーが出たのです。
結婚記念に温かい思い出
おかげさまで、午後9時過ぎには五合目までたどり着くことが出来たのです。
夫と二人だけで下山していたら、0時を回っていたかもしれないし、もしかしたら、最悪、ライトを持っていなかったので足を滑らせて動けなくなって......とかもあったかもしれない。
お礼がしたいから、と連絡先を尋ねたのですが、ご遠慮されてしまいました。
もう二度と会えないかもしれないけれど、助けていただいた方々のことは一生忘れません。
タクシーも夜間料金になってしまって、助けていただいたのに、申し訳なくて、お礼が出来なかったことが心残りです。
もし何かのご縁でまたどこかでお会いすることが出来たなら、感謝の気持ちを伝えたいです。
3年目の結婚記念が、助けてくださった方々のおかげさまで、人の温かさに触れて、とても素晴らしいものになりました。
あの時は本当にありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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