ご当地製麺会社が手掛ける「横手やきそば」再現カップ麺 おいしさを〝完成〟させるのはアナタ
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百六十七回 トヤマフーズ「横手やきそば」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百六十七回目となる今回は、トヤマフーズの「横手やきそば」を紹介します。
B-1グランプリでゴールドグランプリを獲得した「横手やきそば暖簾会」の「横手やきそば」を再現したカップ焼そばで、秋田・横手のご当地製麺会社「トヤマフーズ」の商品です。
「横手やきそば」の特徴とは
「横手やきそば」は、2009年のB-1グランプリにおいてゴールドグランプリを獲得した秋田・横手名物のご当地グルメ。静岡・富士宮の「富士宮やきそば」や群馬・太田の「太田焼きそば」とともに、日本三大焼そばのひとつに数えられています。
その特徴は、横手市内の製麺会社で製造された太くて真っ直ぐなゆで麺を甘めのウスターソースで味付けし、キャベツや挽肉とともに片面焼きの目玉焼きや福神漬を添えるところ。
特に目玉焼きはシンボル的な存在で、「横手やきそば」といえば目玉焼きがのった焼そばのイメージが強いのではないでしょうか。
ただ、今回はカップ焼そばなので目玉焼きは付いておらず、福神漬も入っていないので、より「横手やきそば」らしさを求めるなら自分で用意する必要があります。パッケージにも「卵と福神漬けをご用意してお召し上がり下さい」と書かれています。
筆者は基本、めんどくさがり屋なのでカップ麺はあまりアレンジなどせずに与えられたまま食べていますが、今回は両方とも用意してみることにしました。
カップは昔懐かしの湯切り用の爪がある蓋付きタイプで、少しノスタルジックな気分になります。
昔は「ペヤング」も「UFO」も「やき弁」もみんなこのタイプでしたよね。
この容器を見ていると、シンクで湯切りすると熱によってボコッと音がすることや、湯切りに失敗して蓋が開いて中身が飛び出してしまうことも含めて懐かしい思い出が蘇ります。
トヤマフーズ「横手やきそば」の内容物
容器を開けると、麺の袋の他にソースとかやくの袋が入っており、蓋付きの外装に加えて内容物も素朴ながら本格感が漂います。
先入れの麺とかやくの袋を開けた状態。
カップ焼そばでは珍しいノンフライ麺が使われています。
かやくの量はかなり多そう。
甘みが強めのソースと目玉焼き・福神漬けの組み合わせ
湯切りをしてソースを混ぜ合わせて「横手やきそば」完成。
キャベツがたくさん入っていて他に具を用意しなくても十分に見映えするボリュームとなっています。
これに、メーカーも推奨のトッピングをオン。
自分で用意した目玉焼きと福神漬をのせました。
目玉焼きはあまりうまく焼けなかったし、福神漬は真っ赤ではないのであまり見映えしませんがご容赦ください。
ソースは液体で、ウスターソースをベースに甘みや酸味を加えています。
「横手やきそば」のソースはウスターソースをベースにお店によってだしなどが加えられて水分が多い傾向らしいですが、今回のソースも水分が多め。
甘みが強めなのが最も大きな特徴で、酸味も感じますが塩気は比較的おとなしいです。
醤油の風味がやや強めで和風の雰囲気もありました。
上にのせた目玉焼きの黄身を割って食べてみると、黄身のコクによって甘いソースがさらに甘く感じられ、かなりまったりした味になります。
目玉焼きはのせた方が間違いなくおいしいと思いますが、黄身と合わせると極端にまったり味になってしまうので、黄身を割るのはある程度ソースのみで味わった後、後半戦からの味変にした方が良いかもしれません。
同様に福神漬も甘いため、ソースや黄身と合わせると多少甘みが過ぎてしまうかもしれないので、こちらは少しずつ投入して様子を見たいところ。
福神漬を入れるのが「横手やきそば」の形なので致し方ないですが、許されるなら、今回の味だともっと甘みが少ない沢庵とかいぶりがっこの方がマッチしそうです。
そういえば、横手はいぶりがっこも名物なのに、敢えて福神漬が使われるのは面白いですね。
中太のノンフライ麺を使用
麺は、中太で緩やかに縮れのついたノンフライ麺。
「横手やきそば」の麺は本来ストレート形状のものが多いそうですが、今回はやや縮れ気味。
おそらく意図的な縮れではなく、麺をフリーズドライする工程上で縮れたのではないかと思われます。
少しだけ縮れていること以外の太さや角麺形状は「横手やきそば」の特徴を忠実に再現していました。
ノンフライ麺ならではの麺密度の高いもちもちした食感で、また油揚げ麺に比べて雑味が少ないため、合わせるソースの甘みがストレートに感じられます。
いつも食べ慣れている油揚げ麺のカップ焼そばもジャンキーでおいしいですが、それとは一味違う味と食感が楽しむことができ、ワンランク上のものを食べている気分になりました。
具は、鶏豚挽肉とキャベツの組み合わせ。
鶏豚挽肉もまずまずの量が入っていますが、それ以上にキャベツが多くて埋没気味。
キャベツはかなりの量で、多めに入っているソースなどを徐々に吸うことで、麺まわりの水分を減らしていきます。
キャベツがこれだけたくさん入っていると強力な甘みとなり、ソースや黄身と共鳴してさらに甘みが増幅して感じられました。
キャベツが多いのはとてもありがたいのですが、大量のキャベツの中に挽肉が埋もれてしまっているので、キャベツを多少減らしてその分を挽肉に回してバランスを取っても良さそうに見えました。
「横手やきそば」らしくするのはあなた次第
甘いソースにノンフライ麺、そして大量のキャベツといった大きな武器を持つ魅力的な今回の商品。
何も用意せず食べてもソース、麺、具のそれぞれに魅力があって十分においしいのですが、「横手やきそば」らしく食べるなら、その大きな特徴である目玉焼きや福神漬は、自分で用意しなければなりません。特に、目玉焼きは必須でしょう。
反面、ソースやキャベツ、そして自分で用意した目玉焼きや福神漬によって、かなり甘くまったりした味になってしまう可能性もあり、目玉焼きの黄身を潰すタイミングや福神漬の量は慎重になる必要がありそうです。