どこにでもある田園に見えるけど、実は 〝最高の有給休暇の過ごし方〟に5.8万人憧れる
有給休暇を取って旅に出る――。なんとも素敵な響きじゃないか。
関東地方在住のとあるXユーザーは、そんな旅行のために奈良県にやってきた。
そして、「最高」の風景を楽しんだという
2025年1月24日、「ぺん@古墳巡り」(@pen_kofun)さんが投稿したのは田園風景の写真。
手前には細い道が通り、その脇のちょっと地面が盛り上がったところに木が生えている。
のどかではあるが......どこにでもありそうな景色だ。なぜこれが「最高」なのか?
ぺんさんはこんな呟きを添えている。
「今私はわざわざ有給休暇をとり、わざわざ東京から奈良にやって来て、そしてなぜか凄くマイナーな古墳を見て歩いている。最高である。」
木の下にある小さな盛り土は古墳だというのだ。
古墳というと、当時の有力者が葬られた前方後円墳のようなものを想像するが、そういった立派な古墳ばかりではないようだ。どちらかというと目立たない古墳も、世の中にはたくさんあるらしい。
そんな風景に溶け込む「凄くマイナーな古墳」を見て歩く......「最高である」というつぶやきが、いかにも楽しそうな投稿には、5万8000件を超える「いいね」(1月29日時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「左側で直線の道路を曲げたのは古墳を避けたからですかね」
「まほろば感ある古墳ですね」
「奈良あるある 『小高い丘はほぼ古墳』ですので」
「綺麗な3角の山は古墳 平地にある小さい丘も古墳」
「公園と言われる所も古墳です。もはや古墳しかありません」
マイナーな古墳巡りの魅力とは。投稿者・ぺんさんに詳しい話を聞いた。
奈良で〝高まり〟を見つけたら...
ぺんさんは、関東在住の古墳マニア。有名なものからマイナーなものまで、全国の古墳を訪れている。畑や宅地の隅などに残る古墳に、もっとも心惹かれるそうだ。
まさにそんな光景である冒頭で紹介した写真は、奈良県田原本町の「多」という地域で、1月24日の午前中に撮影したものだという。
「古墳って実は畑の開墾や開発などにより破壊されることも多々あるのですが(現在残っている古墳よりもすでに失われている古墳の方が圧倒的に多いです)、マイナーな古墳を見ると『よくぞ現在まで残ってくれました...!』と嬉しい気持ちになります」
「古墳って多くの人にとっては歴史の教科書のような遠い存在だと思うのですが、そんな古墳がこうして現代の人々の生活の中にひっそり溶け込んでいる様子に、途方もない魅力を感じます。1500年ほど昔に造られたものが私たちの身近に残り続けているってとても凄いことだと思いませんか?」(「ぺん@古墳巡り」さん)
ぺんさんにとって、奈良県は今まで10回以上は訪れているところ。奈良で鬱そうとした〝高まり〟があったらかなりの確率で古墳だという。古墳好きからするとたまらない場所のようだ。
「古墳については遺跡地図や文献を調べ、それとGoogleマップや昔の航空写真を見比べながら詳細な位置を確認、それを印刷した地図に書き込んでから現地を訪れます」と、ぺんさんは語る。現地では自分の記録用にサクッとデジカメで写真を撮り、あとは見学に専念する。
「古墳があるのは奈良や大阪だけではありません。あまり知られてないだけで、全国各地にたくさん存在しています。その数およそ16万基以上(コンビニの数の約3倍) 歴史の授業のような遠い存在ではなく、実はかなり身近な存在なのです」(ぺん@古墳巡りさん)
ちなみに日本のコンビニ店舗数は5万7594店舗(日本経済新聞社2023年調査)。そう考えると、古墳ってけっこう、そこら中にある存在なのかもしれない。
今回のXでの反響の中で、「こんな旅がしたい」「自分の興味のあるものを追求している姿が素晴らしい」といったコメントが印象に残ったという。大きな話題になった理由について「古墳そのものというよりも、マニアックな旅を楽しんでいる様子に共感していただけたことにあるのでは?」と語る。
実生活で、古墳巡りが趣味だと発言すると、「変わり者」「変人」といった印象を持たれることも多く、疎外感を感じることもあるんだとか。しかし、X上では「多くの方にポジティブな意見をいただけて励みになりました」。
最後に、ぺんさんの投稿を見て、自分も古墳巡りをしてみたいと思った人へ。現地を訪れた時には、次のことに注意してほしいとのこと。
「古墳の多くは私有地にあるため、見学の際は田畑や宅地敷地内に無断で立ち入らないなど、地域住民への配慮をお願いします」(ぺんさん)
マナーを守って、最高のマイナー古墳巡りを楽しもう。