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名古屋鉄道の超斬新〝中吊り〟に7.7万人瞠目 「心癒されますね」「こういう広告があるとうれしい」」

福田 週人

福田 週人

2024.12.15 14:00
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最後に電車の中吊り広告をじっくり見たのはいつだったっけ? 自分のスマホに集中していたり、車内のデジタルサイネージに目を奪われたりで、最近はとんと見ていない、という人もいるかもしれない。

でも、もしこんな中吊り広告だったら、画面を見るのを忘れて、夢中で上を見上げてしまうかもしれない。

ビニール袋に...花?(画像はLast scape _最後の風景@last_landscapeさんの投稿より)
ビニール袋に...花?(画像はLast scape _最後の風景@last_landscapeさんの投稿より)

こちらは、XユーザーのLast scape_最後の風景(@last_landscape)さんが2024年11月20日に投稿した写真。

先述の通り電車内の中吊り広告......なのだが、よくある紙の広告ではない。

吊り下げられているのは、なんとドライフラワーだ。

車両内のこんな場所に花を飾るなんて、たしかに素敵だし思わず見てしまいそうだけど......何のために?

Jタウンネット記者は22日、まずは発見者のLast scapeさんに話を聞いた。

「目から鱗のアイデアに感動」

Last scapeさんが〝中吊りドライフラワー〟を発見したのは11月9日。名鉄名古屋本線の特急電車内の中でのことだった。

Last scapeさんの投稿によれば、このドライフラワーは規格外で売り物にならなくなった花たちを真空パックにしたもの。掲出終了後には再度回収し希望者に持ち帰ってもらうことになっていたという。

「捨てられるはずだった生産農家の花々を、電車の広告媒体を通じて鉄道利用者に持ち帰ってもらうという、これまでの車内広告には見られなかった斬新なPR方法で、フラワーロスの問題提起だけでなく車内の雰囲気も彩るという目から鱗のアイデアに感動しました」(Last scapeさん)
電車内を彩るドライフラワー(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)
電車内を彩るドライフラワー(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)

名古屋鉄道が10月16日に発表したプレスリリースによると、このユニークな中吊りは10月28日スタートの「うえむくとうわむくプロジェクト」の一環だ。

今までにない"アイデアのある"中吊り広告で乗客や世の中が上向くきっかけを作ろうとする企画で、第1弾としてドライフラワー広告の掲示・配布を行う「MORE FLOWER(モアフラワー)」が実施された。

記者は12月11日、この企画について名古屋鉄道(本社:愛知県名古屋市)にも話を聞いた。

「フラワーロス」の解決の一歩に

愛知県は、花卉(かき)の出荷量で全国1位。

しかし現在、生産農家から出荷された花が諸事情で消費者の手に渡らずに廃棄されてしまう「フラワーロス」が、経済的にも環境的にも問題視されているという。

企画第1弾の「MORE FLOWER」(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)
企画第1弾の「MORE FLOWER」(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)

そこで名鉄は、規格外の花を農家から買い取りアップサイクルする活動を行っているドライフラワーフローリスト・堀祐次郎さんと連携することに。

ドライフラワーの広告を作って車内で楽しんでもらうと共に、日常に花を取り入れる契機を作る。それによって、SDGs17の目標の1つである「つくる責任、つかう責任」へ繋げていくことを目指す。「MORE FLOWER」は、そんな趣旨のもとに行われた。

掲示が終わったら無料配布された(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)
掲示が終わったら無料配布された(画像提供:名古屋鉄道旅客営業部)

10月28日~11月17日の期間に車内に掲示された後、取り外されたドライフラワーの広告たちは、名鉄名古屋駅改札内で無料配布された。

記者の取材に応じた名古屋鉄道旅客営業部の幸田遥平さんによると、配布にあたっては専用のラックを設置したとのことだ。

「配布期間は11月20日~11月22日を予定していましたが、初日の11月20日中に100個全て配布終了するという嬉しい誤算となりました」(幸田さん)
掲示後は乗客の元へ(画像はLast scape _最後の風景@last_landscapeさんの投稿より、再掲)
掲示後は乗客の元へ(画像はLast scape _最後の風景@last_landscapeさんの投稿より、再掲)

電車内で上を向けば、気分が上向く。プロジェクト名通りの広告には、X上でも7万7000件以上のいいね(12日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。

「心癒されますね」
「車内が華やかになるし、欲しい人は貰えるし、皆ハッピーですね」
「中吊り広告って面白い。色んな可能性を感じる」
「素敵な取り組みですね。ほとんどの人がスマホを見つめているからこういう広告があるとうれしい」

こうした反響に対し、幸田さんは

「従来の広告という枠にとらわれず、時代にマッチしたアイデア、クリエイティビティを組み合わせることで、中吊りにはまだまだ新しい可能性があることを再認識させられました。今後も『気持ちと世の中が上向く』きっかけになるような施策を実施したいです」

とコメントしている。

第2弾以降は上を向いたら何が見えるのか。続報を楽しみに待ちたい。

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