「マタニティマークをつけて乗った満席バス。マークを見てくる老人と目を合わせないようにうつむくと...」(東京都・30代女性)
目を合わせないようにうつむくと「そこのひと!」
スリーピースのスーツをビシッと着て、おしゃれな帽子を被ったそのおじいさんの目線の先はマタニティマーク。
ちょうどSNSなどでマタニティマークをつけていたことで嫌な思いをした妊婦の話を見た頃だったので、私はなるべくおじいさんと目線を合わせないようにしようと下を向くことに。
すると、おじいさんが私に大きな声で話しかけてきました。
「そこのひと!ここにすわりなさい!」
なんと、おじいさんはわざわざ席から立ち上がり私に座るよう促したのです。
「いえいえ!大丈夫です!申し訳ないです!!」思わずそう答えると、「バスでゆれて転んだらお腹の子が大変だ。私は大丈夫だから。さあ、座りなさい」とにこやかに言ってくださり、私は申し訳なく思いながらも座らせていただきました。
とはいえやはり申し訳ないので、「すみません、譲ってくださり.........あの、お身体大丈夫ですか?」と尋ねると、おじいさんはこう仰ったのです。
「なあに、私は今年92歳だが足もしっかりさせるために鍛えているし、これからは老いていくだけだ。あなたのお子さんの将来の方が大切なのだから身体を大事にしなさい」