「2キロも離れた幼稚園に、1人で通っていた私。ある日寄り道していたら、道路工事のオジサンに...」(長野県・40代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Oさん(長野県・40代男性)
幼いOさんはその日、家に帰る道が分からなくなって困っていた。
半分泣きながら、あたりをウロウロするOさん。そこに声をかけてきたのが、工事現場の日に焼けた男性で......。
<Oさんの体験談>
40年前、私は自宅から約2キロ離れた幼稚園に、毎日1人で歩いて通っていました。
今では考えられないことかもしれません。しかし当時は人も社会も寛容で、地元だった田舎町は「地域の子供は地域の大人皆で育む」という雰囲気だったのです。
道路工事の現場を通ると...
私は園が終わるといつも寄り道をして、川や公園、友達の家で遊んでから帰宅していました。
その日も自宅とは真逆の、園から1キロほど離れた友達の家で遊んで帰ることに。
そして、ひとしきり遊んで友達の家を出たは良いものの......帰路はおろか園へ戻る道すら分からなくなってしまったのです。
半ベソかいてウロウロする私。道路工事の現場を通り過ぎようとした時、その日の仕事を終えたらしい現場作業のオジサンが「こんな時間にどうした、ボウズ?」と声を掛けてきました。
そこで事情を伝えると「よし、オジサンが送ってってやる。お家の近くに何があるか言ってみろ」と申し出てくれたのです。
私が知っている店や公園等を全て伝えると「うん、大体分かったぞ」と私の頭にゴツゴツした大きな手をポンっとおきました。
初めて乗る大きなトラックで...
初めて乗る視線の高い大きなトラックの景色を、今も覚えています。
帰宅してすぐに事の経緯を母に伝えると、母はお礼をしに玄関を飛び出していきました。
でも、既にオジサンはそこにいませんでした。
私は今、建設業に携わっています。
トラックを見る度、私の頭にポンっと手を置き「もう泣くな!」とニッと笑った、日焼けしたオジサンの笑顔を思い出します。
あの時のオジサンは、私にとっては神様のように思えました。
オジサン、今もどこかで元気にしてますか? あの時は本当にありがとう!
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
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