朝から晩まで働くシンママに5歳息子から〝信じられないプレゼント〟 お金もないのにどうやって?本人に聞くと...
シリーズ読者投稿~あなたに届け、この「ありがとう」~ 投稿者:Mさん(兵庫県・60代女性)
若いころに夫と離婚し、幼い息子たちを育てていたMさん。
いろんな仕事を掛け持ちし、朝から晩まで働く日々を送っていた。
そんな生活の中で迎えた、ある年の誕生日。自宅に帰った彼女を待っていたのは、信じられないプレゼントだったという。
<Mさんの体験談>
40年近く前、夫と離婚した私は二人の息子を育てるのに必死ながらも、優しい息子達と三人で楽しく暮らしていました。
それは、下の息子がまだ5歳だったころのこと。仕事から帰ると、「ママに誕生日プレゼント」といって冷蔵庫からウニのパックを取り出して渡してくれたのです。
お金もないはずなのに、どういうこと? 驚いて息子に聞いてみると......。
100円玉を握りしめ、魚屋さんに行ったけど...
息子は以前、正月か何かの機会にわたしがウニを食べて、「美味しい~!最高~!」と叫んでいたのを覚えていたのか、私の誕生日にプレゼントとしてウニを食べさせたい、と思ったようなのです。
そして、なけなしのお小遣いの100円玉を握りしめて、近くの魚屋さんに行き、ウニを探したそうです。
しかしそこで子供なりにお金が全然足りないとわかったらしく、半分涙ぐみながらモゾモゾしていたら、魚屋のオジサンが声をかけてくれたんだとか。
「坊やどうした? お買い物を頼まれたのかい?」
息子は「ママの誕生日プレゼントにウニを買いたくて来たけれど、お金が足りない」というようなことを、泣きべそかきながらなんとか言ったそう。すると、そのオジサンが蒸しウニを持たせてくれたといいます。
「生ウニは残念ながらあげられないが、蒸しウニなら大まけしてあげるから、持って帰りな。同じウニだから、お母さんきっと喜んでくれるよ」
そんなことを、言ってくれていたそうです。
大人になった息子の働くレストランで、ウニの料理を食べて...
魚屋さんヘは後日もちろん御礼を言いに行きました。
ただ、私はその頃、朝の4時からパン屋でパンを作る手伝いをし、7時からはカフェでモーニングを出し、10時からは音楽教室の仕事、夕方からはステーキハウスへBGMの演奏に行き、夜10時頃帰り、合間の電車の中で睡眠時間を補う生活を送っていて、なかなかタイミングが無く......。
行くのが随分遅くなってしまい、気まずい気持ちだったのを覚えています。
さて、その息子は、ホテルでフレンチのコックを10年以上勤めたあと、フランス料理店のシェフになりました。
先日、オーナーさんがご好意でその店を貸し切りにしてくださり、初めて息子とディナーコースを食べさせて頂きました。
そこに、ウニののった料理が出て、あの時の事を思い出しました。
「あなたは『人に美味しいものを食べさせて喜んで貰いたい』と願う人として、生まれてきたんだね」
そんな話を、息子とました。
あの魚屋店があった場所にはビルが建ち、店は消えてしまいましたが、あの時、息子の想いをくんでウニをプレゼントに持たせて下さったオジサンにも、このディナーコースを食べて貰えたらな、とふと思いました。
「ありがとうございました」と、もう一度ちゃんと御礼が言いたいです。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
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