「この家で暮らす夏を思って胸が苦しくなった」 中禅寺湖畔に佇む〝別荘〟に羨望の1万いいね
ワーケーションも可能です
栃木県立日光自然博物館の公式ウェブサイト内の「イタリア大使館別荘記念公園」のページでは、このエリアについて次のように解説されている。
「明治中頃から昭和初期にかけて中禅寺湖畔には各国の大使館をはじめ多くの外国人別荘が建てられ、国際避暑地として発展しました」
「園内の建物は、昭和3年(1928年)にイタリア大使館の別荘として建てられ、平成9年(1997年)まで歴代の大使が使用していたものです。
『本邸』は床板や建具・家具などをできる限り再利用して復元し、副邸は往時の歴史を紹介する『国際避暑地歴史館』として整備しています」(「栃木県立日光自然博物館」サイトより)
中井さんが投稿で紹介した本邸は、著名な建築家であるアントニン・レーモンドの設計。横浜・元町公園にある「エリスマン邸」や東京・杉並区にある東京女子大学のキャンパスなどを手掛けた、日本の建築界に大きな影響を与えた人物だ。
2階建てで、1階は食堂と書斎で中央の居間を挟むワンルーム。そこから繋がる広縁から、中禅寺湖を眺められる。また、2階には寝室が並び、そこからも湖が見える。
ああ、ここでのんびり過ごす夏。想像するだけでうっとりする。
「イタリア大使館別荘はとくにデザインも装飾的で、さらに当時、最先端のモダン建築というだけでなく、日光の環境や素材、文化との融合を強く意識したとてもユニークな建築であると感じました。
とくに避暑地の別荘という焦点を絞り込んだ用途から、夏の中禅寺湖の景色や空気を味わうことに特化した空間であることが感動的でした」
と中井さんも絶賛する。
また、X上の反応については、こう述べていた。
「建物だけでなくやはり涼しい土地での避暑への憧れも多かったかなと思います。
リモートワークも普及してきましたし、これだけ酷暑が続くと、中禅寺湖に別荘を構えた各国の大使たちのように『夏のあいだは別の街で暮らす』というライフスタイルへの憧れは切実なものになりますよね」(中井治郎さん)
そういえば、栃木県立日光自然博物館の別荘公園のページでは、入館料として通常料金 300円という表記の他に、「ワーケーション利用も可能です。(有料)」とも書かれていた。
まさか、この見事な建物の中で働いてもいいというのか?
記者が同館に電話で確認してみたところ、別荘本邸2階のギャラリーを、ワーケーションに利用できるという。ギャラリーもまた、中禅寺湖に面した部屋のようである。
使用希望の場合は、電話・FAX・メールなどで申し込み可能とのこと。予約はいつもできるとは限らないそうだが、使える場合は室料920円、電源・照明などの使用料680円の計1600円がかかる。
本邸1階にはカフェがあり、コーヒーやクッキーが楽しめるらしいし......夏は、中禅寺湖畔のイタリア大使館別荘でワーケーションするしかないな、と思ったのは、記者ばかりではあるまい。