「早めに席を確保した私の隣で老夫婦が『お前が座れ』『あなたが座ったら』。悩みながらも譲った結果...」(東京都・30代女性))
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者:Yさん(東京都・30代女性)
その日、高校生のYさんは長野から在来線を使って家に帰ろうとしていた。
早めに駅に向かった彼女は無事に座席を確保できたのだが......。
<Yさんの体験談>
高校2年生くらいの時、遠距離恋愛をしていた長野に住んでいる彼氏に会いに行きました。
当時はお金もないので帰りは新幹線を使わずに普通電車で帰ることに。
始発の駅なので座れるし、2時間くらいかかるけど寝てればつくかな、なんて思っていたのですが......。
席を譲ったけど、立ちっぱなしで後悔...
はやめに駅に到着した私は無事に着席。その後、あっという間に混んできて空席は残りわずかになりました。
そのとき、空いていた隣の席に老夫婦がやってきて「お前がここ座れ」「あなたが座ったら」のようなやりとりをはじめたのです。
そこでスムーズに譲ればかっこいいのですが、今も昔もあまり真面目な人生を歩んでこなかった私は「譲ったら2時間立ちっぱなしかもしれない」「せっかくはやくきて座ったのに...」と悩んでしまいました。
それでも、「でもいつかどこか空いたら座ればいいか」と席を譲ることに。
「大丈夫ですから」「どこまで行くの? 遠いんじゃないの?」と遠慮する夫婦に、大丈夫です大丈夫ですと曖昧な返事をしながら席を譲り、ちょっと離れたところに移動しました。
その後席は空くものの混んでいるのでなかなか座れず、結局ずっと立ちっぱなし。
私は、席を譲ったことを少し後悔しはじめました。
「良い事をしたら良い事が返ってくる」
しかし、目的の駅まであと20分くらいのところで、先程の夫婦のご妻君のほうが座っていたところにリュックを置いて、「私達は次で降りるからあなたが座って」とわざわざ私を呼びに来てくれたのです。
その瞬間、席を譲ったことを後悔してる自分がすごく恥ずかしくなりました。
そして、「良い事をしたら良い事が返ってくるんだ」「そんなに感謝してくれていたなんて」と、なんとも言えない気持ちになりました。
すごく感謝されて、降りるまでこちらを何度も何度も振り返って頭を下げてくれるお二人を見て、うまく言えないですが、もう少し他人に優しく生きてみようって思えることができました。
今30半ばにしてなかなか転職活動が思うようにいかず、「もう適当でいいか」なんて投げやりになりそうなこともあります。
でも、ふとあのとき感謝されたことを思い出して、「私は大丈夫。あんなに素敵な笑顔を向けてもらえた私なら大丈夫」と奮い立たせて頑張っています。
あの時のほんの少しのやりとりで大事なことを学ばせていただきました。本当にありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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