「飼育動物にボロボロにされたシャツ」に衝撃走る 犯人はかわいいアイツ...ギャップ伝える展示の意図は?水族館に聞く
読者の皆さんに、見ていただきたいシャツがある。
ビリビリに引き裂かれている。
まるで猛獣に襲われたかのようだが......犯人はライオン?トラ?クマ?
いや違う。正解はもっと小さくて、可愛らしい動物である。
なんと犯人はコツメカワウソ! 古くなったシャツを与えた結果、噛みついてボロボロにしてしまったという。
......あ、あのラブリーなコツメカワウソちゃんがそんなことを!?
「説得力半端ない」
一連の画像は2024年4月3日にXユーザーの「サメ社会学者Ricky」(@shark_sociology)さんが投稿したもの。サンシャイン水族館(東京都豊島区)に展示されていたものだ。
Rickyさんはサメの生態や環境問題についてサイトやYouTube上で情報を発信しているユーザー。一般人には飼育難易度が高い上に、絶滅危惧種でもあるコツメカワウソのペットブームに危機感を覚え、問題提起を行う動画やブログ記事も作成してきた。
そんなRickyさんにとって、サンシャイン水族館での展示は好感を持てるものだったという。
「多くの人が訪れる水族館で、このようにインパクトは強いけど説教臭くない方法でカワウソの"可愛い"とは違った側面をアピールする展示は、カワウソペット問題の解決に貢献するのではと考えています」(サメ社会学者Rickyさん)
コツメカワウソの知られざる一面を垣間見せるシャツの残骸は多くのXユーザーに衝撃を与えた。Rickyさんの投稿には1万7000を超えるいいね(8日夕時点)のほか、こんな声が。
「恐ろしいオオカワウソてはなく、可愛らしいコツメカワウソでも服をボロボロにしてしまうなんて...。」
「説得力半端ないよね」
「ズートピアのオッタートンの凶暴化は本当だったんですね」
5日、Jタウンネット記者の取材に応じたサンシャイン水族館のコツメカワウソ飼育担当者によると、カワウソがボロボロにしたのは、彼らの濡れた体を乾かすために与えていた古いシャツ。
「カワウソが巣材(巣の材料となるもの)を集める際に、それを引っ張ったり、振り回したりすることは、生態的にもよくある行動です。その際に、あのようにボロボロになってしまいました」(コツメカワウソ飼育担当者)
もとは23年9月8日~11月26日に実施されていた"怖い生き物"に焦点を当てた夜間特別イベント「TERROR Night Aquarium」で展示していたもので、23年12月10日からはカワウソ水槽前に設置しているという(荒天時は展示中止)。
かわいいの一歩先へ
では、なぜボロボロのシャツを展示しようと思ったのか?
飼育担当者は、「かわいいの一歩先」を伝えたいと語る。
「カワウソの魅力と生態や能力、現在生息数や生息地を減らしている原因へも、もっと目を向けてもらうことできればと考えています。
カワウソの語源についても、日本では『かわおそ』。川に住む恐ろしい(得体の知れない)動物とも、かつては思われていたようです」(コツメカワウソ飼育担当者)
愛らしい仕草や、小型犬くらいのサイズ感。コツメカワウソという動物は、見るからにかわいい。
だけど、それは彼らの一部分にすぎない。
もう一歩を踏みだせば、「かわいい」だけじゃないコツメカワウソの魅力に触れることができるはずだ。
5月29日(毎年5月の最終水曜日)は「世界カワウソの日」。サンシャイン水族館をはじめ、カワウソを飼育している施設の多くではイベントが開催されている。
この機会に、かわいいの一歩先へ、進んでみては?