北陸グルメを堪能したい?だったら福井に行くっきゃない! 北陸新幹線の新・終着地「敦賀」で食い倒れ
2024年3月16日、土曜日。この日に北陸新幹線が福井県まで延伸することは、もうよくよくご存じのことだろう。
では皆さん、新幹線が新しく停まるようになるのはどんな駅か、知っているだろうか?
特に、終着点となる「敦賀」。Jタウンネットでは何回か取材に行ったことがあるのだが、これまではなんというか......とっても、遠かった。行ったことがない関東民も結構いるはずだ。ちなみに「つるが」と読みます。よろしくね。
さて、そんな敦賀に、これからは新幹線1本で行けるようになる。これまで必須だった乗り換えがゼロに。東京で座って、そのままジッとしているだけで、敦賀着。旅行のハードルが下がりまくり。革命的である。
そしてこの駅、なかなかに見どころ、そして味わいどころが多そう。これはぜひとも現地をリサーチしておかなければ。
というわけで、Jタウンネット記者は2023年12月初旬、新幹線......はまだ開通していないので、電車を乗り継いで敦賀入りし、注目スポットを巡ってみた。
読者の皆さんも、ぜひ今春からの敦賀観光の参考にしてみて欲しい。
最大全長は300メートル超
新幹線敦賀駅は、在来線敦賀駅の隣にできている。福井県公式観光サイト「ふくいドットコム」によると駅舎の高さは12階建てビルに相当する約37メートル。これは整備新幹線の中で最大規模らしい。デカい!
新幹線が止まるホームがあるのはその3階。2階はコンコース、1階は在来線特急ホームになるという。また、福井県初の"動く歩道"のある連絡橋で既存の駅舎と繋がっていて、在来線や北陸本線を引き継ぐ「ハピラインふくい」へはここを通って乗り換えることになる。
在来線ホーム側にある駅前広場からは、市内の観光スポットを巡る「ぐるっと敦賀周遊バス」が出ている。主に港湾エリアの観光地を回る「観光ルート」と、各種レジャー施設や商業施設を回る「ショッピングルート」の2つで、市内の主な観光スポットは網羅できるので、車が無くても安心だ。
というワケで、周遊バスに乗って行ける美味しいスポットをご紹介していこう。
大迫力! 越前がにの「釜揚げ」
北陸グルメの王道といえば、やっぱりカニ! 中でも福井県の漁港で水揚げされる「越前がに」は、毎年皇室に献上される最高級品として有名だ。
敦賀市内でも、毎年漁が解禁される11月6日から漁期が終わる翌年の3月20日まで、各地の旅館や市場などで新鮮な越前がにを楽しむことができる。
観光ルート『お魚通り』停留所の近くにある「相木魚問屋」も、その1つ。こちらのお店では、水揚げされた大量の越前がにを豪快に大釜で茹で上げていく「釜揚げ」の様子を見学することができる。
3代目社長で現会長の壁下恒和さんは、カニの釜揚げは戦後間もない昭和20年代から現在に至るまで続けていると語る。
「カニっていうのは、生で流通させるかボイルしたものを流通させるかの二つ。でも戦後間もない頃はまだ冷凍技術が充分じゃなかったから、生だと腐るのが早かった。だから昔は湯がいて、都会なり市場なりに流通させるのが主流だったんです」(壁下さん)
今ではカニを湯がく時の主流は「ボイラー方式」(カニに高温の蒸気や熱湯をあてて加熱する方法)になったが、相木魚問屋では昔ながらの「釜揚げ製法」を採用し続けている。そこには、越前がにの味へのこだわりがあった。
「釜揚げはカニのエキスが染み出た熱湯でまたカニを茹でているので、ただのお湯で茹でるよりずっと旨味が凝縮されるんですよ。だから、うちでは戦後の頃からずっとこの方法でやってます」(壁下さん)
カニを茹でた出汁でカニを茹でる、の繰り返しで美味しくなる。それが「釜揚げ製法」というわけだ。
相木魚問屋の「釜揚げ」は見学自由で事前予約も不要なので、お店を訪問すれば誰でも見ることができる。
もちろん見学だけでなく、茹であがったカニをはじめ新鮮な海の幸を購入することも可能だ。釜揚げを見た後は、すぐ目の前の直売所へ!
人生で一番おいしい海鮮丼!?
市場や魚屋さんで魚介類を買うのもいいけど、やっぱり現地で美味しい海鮮料理を味わいたい!
そんな人におすすめしたいのが、相木魚問屋から徒歩3分の場所にある海鮮丼の店「うお吟」だ。
真鯛やハマチ、イカ、タコなど10種類もの地魚を贅沢に使用した「恵びす丼」は、ぜひとも食べておきたい逸品。中でも一番人気なのは、イクラとウニが乗った卵かけご飯「大黒丼」がセットになった、「恵びす大黒丼<竹>」(税込2950円)だ。
一口食べるだけで色んな種類の海鮮を味わえて、満足感たっぷり! 添えられた「大黒丼」も、ミニサイズながらメインの「恵びす丼」に引けを取らない美味しさだった。ウニとイクラが乗ったTKGが美味しくないわけがない!
漁港や魚問屋さんを巡ったお陰ですっかり「海鮮の口」になっていたこともあって、記者はどんぶりをあっという間に空にしてしまった。
新幹線が開通したら、またこの海鮮丼を食べに敦賀に来よう......と心に誓う美味しさだった。
また、「ぐるっと敦賀周遊バス」の『ショッピングルート』路線に乗って行くことができる「日本海さかな街」でも、海鮮丼を楽しめる。
加えて、人気の海産物はもちろん、地元銘菓・地酒など種類豊富な商品も並んでいる。お土産選びも楽しめる海鮮市場だ。
食事もショッピングも一挙に楽しみたい人は、敦賀駅を降りたらまずはここを目指すのもオススメだ。
赤レンガに囲まれてスイーツを頂く
料理だけでなくスイーツも味わいたいという人のために、敦賀港沿いにある「敦賀赤レンガ倉庫」も紹介しておこう。周遊バス『観光ルート』で行ける場所だ。
敦賀市は明治から昭和初期にかけて、ロシアを経由して日本と大陸ヨーロッパを繋ぐ交通拠点として栄えた港町。国際都市として繁栄していた当時の敦賀港を象徴する施設が、赤レンガ倉庫だ。
公式サイトによると、この建物は1905年に外国人技師の設計によって石油貯蔵庫として建設された。その後も軍の備品倉庫や昆布貯蔵庫に使用され、現在は北棟が敦賀の鉄道と港の歴史を紹介する「ジオラマ館」、南棟が赤レンガ空間を楽しみながら食事ができる「レストラン館」として生まれ変わり、市内有数の観光名所となっている。
ここまでの紹介で「スイーツは?」と思った読者の皆さん、ちゃんと覚えているので安心してほしい。
赤レンガ倉庫の中には3つの飲食店があり、そのうちの1つである「赤れんがcafe」では、「焼立てチーズタルト」や「牛乳プリン」など、地元の食材を使用した各種スイーツが味わえちゃうのだ!
ほんのり焦げ目がついたチーズタルトは、しっかりと素材の味を感じられる優しい甘さ。コーヒーや牛乳との相性もすこぶる良さそうだ。
「国際都市・敦賀」の歴史を学んで頭を使ったら、甘いお菓子で一休み、なんてどうでしょう?
観光の〆は昔ながらの「屋台ラーメン」で
敦賀市内を一日食べ歩きした記者は、リサーチの〆という意味も込めて「〆のラーメン」を食べることにした。いったん敦賀駅に戻り、そこからほど近い国道8号線沿いに行くと......こんな屋台が待っている。
敦賀観光協会公式サイトによると、国道8号線沿いには50年以上も前から十数店舗のラーメン屋台が立ち並んでおり、夜から深夜にかけて各店舗がこだわりのラーメンを提供している。
記者が今回訪れたのは、そのうちの1店舗である「おかや」だ。
敦賀屋台ラーメンのスタンダードは、鳥ガラと豚骨をブレンドした鳥豚骨スープ。「おかや」で提供しているのも鳥豚骨ラーメンで、メニューはその1種類のみだ。
トッピングもチャーシュー、メンマ、ネギ、擦りニンニクだけとシンプルだが、濃厚ながらくどくない味わいで大変美味だった。
メニューが1つだけなのも、これ一本で十分勝負できるからに違いない。ごちそうさまでした!
さて、記者が今回紹介したグルメスポットは、まだまだ氷山の一角に過ぎない。
これまでは交通アクセスの関係で足が遠のいていた人も、新幹線一本で気軽に訪問できるようになるこの機会にぜひ、敦賀で「食い倒れ」してみては?
\合わせて回りたい!鉄道と港のまち・敦賀観光スポット/
1:人道の港 敦賀ムゼウム
敦賀港は、1920年代にロシア革命の動乱で家族を失ったポーランド孤児を受け入れ、また1940年代にはナチス・ドイツからの迫害等から逃れるために、杉原千畝が発行した「命のビザ」を携えたユダヤ難民たちが上陸した港でもある。
敦賀ムゼウムでは、国際的な交通の要衝であると共に孤児や難民を受け入れた「人道の港」としての顔を持つ敦賀の歴史を紹介。数々の史料展示やシアター映像を通して詳しく学ぶことができる。入場料は大人500円、小学生以下300円。
なお、館内には敦賀港のあゆみや展示のあらましを簡単に紹介しているエリアもあり、こちらは無料で見学可能だ。最寄りの停留所はぐるっと敦賀周遊バス(観光ルート)「金ヶ崎緑地(敦賀ムゼウム)」。
2:敦賀鉄道資料館
「鉄道と港のまち」敦賀は、1882年に日本海側で初めて鉄道が建設された場所だ。同館では、そんな敦賀の鉄道の歴史を紹介している。
館内1階では、かつて使われていた信号機や投光機などの実物資料のほか、鉄道の模型などを展示。また、2階では開通以降の敦賀の鉄道の歴史が、パネルによって時系列ごとに紹介されている。
敦賀が北陸新幹線の新たな終着駅になる今こそ、「鉄道と港のまち・敦賀」のルーツを辿ってみるのも面白いかもしれない。入館料は無料。こちらも最寄りの停留所はぐるっと敦賀周遊バス(観光ルート)「金ヶ崎緑地」。
<企画編集・Jタウンネット>