「揺れるバスの中で乳児を抱いたまま立ったり座ったりする母親。事故が起こりそうで恐ろしく『なぜ座らないの?』と質問したら...」(東京都・40代女性)
「なぜ座らないの?」
座っていたママさんですが、何故か時々立ち上がります。片手で赤ちゃんを抱っこし、片手で手すりに捉まり、しばらくするとまた座る。そんなことを繰り返していました。
その抱っこがたどたどしく、揺れるバスの中では今にも事故が起こりそう。車内のお客さんみんなが心配してハラハラ。空気が張り詰めていました。
私はたまらずママさんに「なぜ座らないの?」と声を掛けました。すると、彼女は不安げな顔で言うのです。
「赤ちゃんが泣いちゃうから...」
ママさんは他の乗客に迷惑にならないよう、赤ちゃんを泣かすまいと必死だったのだと気付き、胸が熱くなりました。そして、自分が保育士であることを伝え、ママさんを横掛けの優先席に移動させました。
赤ちゃんをゆったりと抱くようにしてもらった後、赤ちゃんは泣いても構わないこと、優先席を使っても良いこと、車内のみんなが心配して見守っていたことを伝えました。
ママさんによると、その日は一か月検診。赤ちゃんが生まれてから初めての母子の外出だったそうです。どれだけ緊張し、どれほど心細かったことか。
私は先に降車し母子と別れましたが、なんとその日の帰宅のバスで再会。「無事に病院に行くことができ、帰りは赤ちゃんが寝ているから安心している。ありがとうございました」とお話ししてくれました。
初めての外出が無事終わるお手伝いが少しでもできたかなと思い、保育士であることに誇りを感じた出来事でした。
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