「交通量の多い場所で、通り過ぎる車を見つめる車いすの男。車道に出ていて危ないので声をかけると...」(東京都・50代女性)
2023.10.01 11:00
「タクシーを待っているのですが...」
「誰かとご一緒ですか? 誰かを待っていらっしゃるのですか?」と言って私が近づくと、思ったよりしっかりとした表情をしていたその人は、少し寂しそうに答えました。
「タクシーを待っているのですが、もう15台くらい通りすぎて......」
声掛けをしてよかったと思いました。余計なお世話だったらどうしようと不安だった反動で、私も嬉しくてちょっとおしゃべりになりました。
「私がお手伝いしますよ」
「うちの母も車いすを利用しています。介助者がいるとタクシー止まってもらいやすいんですよ」
「タクシーはできれば予約すると良いですね」
するとその人は、「いつもは予約するんだけど、今日は雨予報で天気が良くなかったから...」と、また少し悲しそうに言いました。高齢者が悲しそうなのは母を見ている様で辛くて、「何のために共生社会の実現のための法律が来たんでしょうね」と、私も思わず不満を口にしました。
そんなこんなで一緒に待つことⅠ、2分。車いすのマークがついたタクシーが見え、運転手に合図するとスムーズに止まってくれました。