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「いつもより『ようけ』入ってます」←何が入ってる? 大阪のスーパーPOPに東日本民困惑

藤本 仁

藤本 仁

2023.09.30 08:00
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読者の皆さんに見てほしいPOPがある。

大阪市内のスーパーの、お刺身コーナーに置かれていたものなのだが、どんな意味か分かるだろうか?

ようけ?(画像提供はなちゅ。@itacchikuさん)
ようけ?(画像提供はなちゅ。@itacchikuさん)

こちらは2023年9月25日、大阪在住のXユーザーのなちゅ。(@itacchiku)さんが投稿したもの。

「中とろと赤身」は分かりやすいが、その隣。書いてあるのはこんな言葉だ。

「いつもよりようけ入ってます」

「ようけ」が入っているらしいが、一体何なのだろう。赤文字で書かれているということは、何か魅力的なものなのか。神奈川県出身の記者にはピンとこない。

Jタウンネット記者は27日、投稿者のなちゅ。さんに詳しい話を聞いた。

「コテコテやなー」と思い撮影

なちゅ。さんが話題のPOPを発見したのは24日の夕方。なちゅ。さん自身は「ようけ」という言葉に日常的に触れているが、POPに使われているのを見るのは初めてだった。

「買い物中に目にして、コテコテやなーと思ったので撮影しました」(なちゅ。さん)
コテコテの方言が入ったPOP(画像提供はなちゅ。@itacchikuさん)
コテコテの方言が入ったPOP(画像提供はなちゅ。@itacchikuさん)

どうやら「ようけ」はコテコテの方言らしい。どうりで、関東民からこんな声が寄せられていたワケだ。

「神奈川県民です。『いつもより』と書いてあるので『普段より多く入ってる』って意味だろうなというのは分かります。『ようけはいってます』だけだと、魚の名前?ん?なにそれ?ってなると思います」
「『ようけ』という何かが普段より入っている...としか理解できない生粋の関東人です」

「ようけ」の意味は「たくさん」。ちなみに、日本方言大辞典で「よーけ」は、「よけー【余計】」のページで解説されている。近畿以外でも、中国・四国地方、名古屋や岐阜、長崎などでも使われることがあるとされており、X上でもそのあたりの出身者から「使う」というコメントが多く寄せられている。

ただ、なちゅ。さんは「ようけ」から、「たくさん」や、同じく量が多いことを示す方言である「ようさん」「ぎょうさん」よりも、ちょっと控えめなニュアンスを感じるという。

なちゅ。さんと同様の感覚をもつユーザーもいる。やはり関西にゆかりがある人達のようだ。

「兵庫県は余裕です ちょっと多い目に入ってるよって事ですね」 「アホほど>ぎょうさん>たくさん>ようさん>ようけ かなぁ、大阪南部出身」
「いつもより1切れかせいぜい2切れ程度多く入ってるという感じですかね(ネイティブではないが幼少時と高卒以後の大半を関西で過ごしてきた民の感覚)」
「私は和歌山ですが、なちゅさんのイメージと同じです。『ようけ』→『ようさん』→『ぎょうさん』の順にどんどん量が増えてく感じです」

そして、そのニュアンスはもしかしたら、四国民とは共有されていないのかもしれない。

「愛媛使います。意味としては『たくさん、いっぱい』比較的、多い量の時に使っている気がします。
「愛媛県民ですが、『ようけ』使います。私の地域はとにかく『多いこと』を伝えるだけで、とても多いこともまぁまぁ多いことも同じように表し、差異はありません」
「香川県も『ようけ(=たくさん、大量に)』は普段から言います」

「ようけ」を書いた本人に聞くと...

POPを書いた本人は、どれくらいの増量を「ようけ」と表現したのか。Jタウンネット記者はX上で取材することが出来た。店舗にマグロを納品しているHさんだ。

「ようけ」と書いた日、いつもよりどれくらい量が増やしていたのかを聞くと、

「本マグロの赤身と中トロの組合せなのですが普段の定番より各2切れずつ多いです。もちろん値段は据え置きです(笑)」(Hさん)

兵庫県で商売人の子供として育ったHさんは、「ようけ」「ようさん」「ぎょうさん」などの言葉は自然と身についていたと語る。

POPに書く言葉としては「増量」「大盛り」などが一般的だが、その中であえて「ようけ」を選んだ理由は「元々はウケを狙いたかったので」。

「他の言葉よりも柔らかい感じで1番お客様に差し障りないかなと...」 (Hさん)

「『やさしいおっちゃんが笑顔で、ちょこっと気持ちオマケしてるよ~』っていう印象を勝手に感じて、ホッコリしました」――X上にはそんなコメントも寄せられていたが、まさに、その通りだったようだ。

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