「電車ではしゃぐ子供たちを見ているうちに寝落ちした私。『ママー!』と泣き叫ぶ息子の声で飛び起きると...」(沖縄県・30代女性)
2023.09.28 11:26
ホームを眺めることしかできずにいると...
降車駅のアナウンスが入ったのはそんな時でした。大きなスーツケースとベビーカー、娘と息子を抱きかかえて下車。乗り換えの電車はすでに、線路を挟んだホームの向こうに待っています。
乗り換え時間は1分で、次の便は2時間後。小さな駅舎なので階段を上って下りればすぐ乗り換えられるのですが、娘は泣きわめき、息子はパニック。エレベーターもなく、私は娘に服の裾を離さないように握らせ、息子の鼻にティッシュを当てたまま、ただ乗り継ぎのホームを眺めることしかできませんでした。
その時、「あらあら、大丈夫よー」と中年のご婦人が娘を抱き抱えて下さいました。
そして、ご婦人のお連れ合いが無言で私の大きなスーツケースとベビーカーを持ち上げ、階段を上り出したのです。
「いきましょうね」
優しく微笑みかけて下さったご婦人に着いていき、ホームの階段を上がりました。
乗り換えの電車まで娘を抱いて運んで下さったご婦人は、あら、お利口さんねー」と、乗り換えの電車の入り口で娘をそっと、私に返しました。
そしてお連れ合いは私の荷物を乗り換えの電車まで運び入れると、優しく微笑み頷いてくれました。
「ばいばい!と手を振ってくれるご夫婦。きちんとお礼も伝えられないまま、電車の扉はすぐに閉まりました。