「後ろにピッタリついてきて、私にクラクションを鳴らす10トントラック。信号待ちでは横に並ばれ、窓を開けた運転手が...」(神奈川県・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Tさん(神奈川県・50代女性)
花屋のTさんが仕入れを終えて店に向かおうとしている時のことだ。
彼女の車の後ろを、10トントラックがついてきたという。煽られているのかと思い焦っていると、そのトラックにクラクションを鳴らされて......。
<Tさんの体験談>
10年以上お世話になった会社を辞め、花屋として働き始めた頃のことです。
花屋はまず朝早くに花を仕入れに市場に行くことから始まります。市場の周りはトラックが多く、四方を10トントラックに囲まれながら小さな車で運転するのは緊張感がありました。
10トントラックが後ろから...
ある日、市場での仕入れを終え、店へ向かおうと幹線道路へ出たところ、後ろに10トントラックがつきました。煽られているような気分で、気が急いて運転していたのを覚えています。
その後、後ろのトラックからクラクションが鳴らされました。確実に私に向けて鳴らしていて、車線を変えても、後ろについてきてクラクションを鳴らしてきます。
まだまだ車の運転も慣れていない頃でとても怖かったです。
しかも、信号待ちになった時にトラックは隣に並んできて、運転手さんが窓を開けて何か言ってきているのが見えました。
怖くてこちらの窓は開けなかったのですが、運転手さんが必死に上を指さすジェスチャーをしているのが見えました。何となく悪い人じゃないような感じがしてこちらも窓を開けると、こう言われました。
「屋根!屋根に乗ってる!」
トラックの会社名もナンバーも分からず...
「あ、仕入れ用の財布だ!」と気づきました。
市場で仕入れをした後、両手いっぱいに花を抱え車に戻り、後部座席に花を積み込む際、つい車の屋根に財布を置いてしまい、そのまま運転してしまったようです。車から降り、屋根を見てみたら大金の入った財布が乗っていました。
トラックはそのまま走り去ってしまったので、会社名もナンバーも分からず、ひと言もお礼も言えないままです。
トラックの運転手さんに教えてもらわなければ、そのまま首都高に乗ってしまうところでした。そしたら確実に財布は飛んでいってしまったことでしょう。
同じ市場に今も通い続け、今年花屋を開業して20年を迎えました。市場の近くを走る大きなトラックの中に私の財布を見つけてくれた運転手さんがいるかも知れないと思いながら、今日も仕入れに行きます。
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