アリラン×竹岡式×二郎で要素がてんこ盛り! 三鷹「すず鬼」監修カップ麺は夏バテ対策の劇薬かも
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百十二回 ファミマル「元祖スタミナ満点らーめん すず鬼監修 こってり鬼濃 醤油まぜそば」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百十二回目となる今回は、ファミリーマートのプライベートブランド「ファミマル」のカップ麺、「元祖スタミナ満点らーめん すず鬼監修 こってり鬼濃 醤油まぜそば」をレビューします。
製造を担当しているのは明星食品系の東日本明星です。
「すず鬼」の看板メニュー「スタ満ソバ」の汁なしバージョン
「元祖スタミナ満点らーめん すず鬼」は、東京・三鷹にある人気ラーメン店。
昼は「鶏こく中華 すず喜」という店名で「こく塩」を看板メニューに、夜は「元祖スタミナ満点らーめん すず鬼」になってガッツリスタミナ系のラーメンを売りにしている、昼夜で「二毛作」のような業態のお店です。
夜の部「すず鬼」の看板メニューは「スタ満ソバ」。千葉のご当地ラーメンである「アリランラーメン」や「竹岡式ラーメン」からインスパイアされ、それに「ラーメン二郎」要素を加えたメニュー。
東京・三鷹のラーメン店ながら、千葉の血が3分の2も流れているという変則ご当地麺となっています。
そんな「スタ満ソバ」ですが、最近はむしろ逆に、インスパイアする側に立つことが多くなっています。有名店はじめ多くのお店で「スタ満ソバ」インスパイアのメニューが供されるなど、絶大な影響力を持っているのです。
今回のカップ麺は、「鬼濃醤油まぜそば」とのことで、「スタ満ソバ」の汁なしバージョンと思われます。
「汁なし」はお店でも供されていますが、「鬼濃」なんて言葉は初耳。油断すると舌が持っていかれそうで物騒な単語ですね。
「こってり鬼濃 醤油まぜそば」の内容物
「こってり鬼濃 醤油まぜそば」の内容物をみていきます。
別添袋は4つも入っていて、明星食品のカップ麺「一平ちゃん夜店の焼そば」などでおなじみのマヨネーズやふりかけもあります。
カップには麺が入っており、麺量は130グラムの大盛、太くて縮れていました。
太くて縮れの強いワシワシ麺は二郎要素と思われます。
先入れの「かやく」を開けると、中には豚肉ミンチとニラが入っていました。ニラはアリランラーメンの要素と思われます。
「かやく」以外の残り3袋は湯戻し後に投入します。
醤油とニンニクがキレッキレで千葉要素爆発!
ニンニクや豚脂のたっぷり入った醤油味のたれに、太くて縮れのついた油揚げ麺、具の豚肉ミンチとニラ、そして明星食品のカップ麺おなじみのマヨネーズやふりかけ。
醤油味のたれにはガッツリとニンニクや豚脂が効いていました。
豚脂がたっぷり入ってニンニクが効いた醤油だれといえば、三鷹のお隣の武蔵境にあり、同じ明星食品からカップ麺が出ている「ぶぶか 油そば」を思い出しますが、「ぶぶか」に比べると醤油やニンニクは強力で、豚脂のこってり感は抑え気味。
キレッキレのニンニクはアリランラーメン、醤油は竹岡式ラーメンからのインスパイアだと思われます。千葉の血が恐ろしく濃いです。
思えば、全国の醤油の生産量の4割近くが千葉産。キッコーマンはじめ大手醤油メーカーの多くが千葉にあります。つまり、醤油味イコール千葉味といってももはや過言ではないような......?
商品名が「鬼濃」なので、塩気の強さは手に取る前から覚悟ができている人が多いと思いますが、醤油のキレがありすぎてちょっと塩辛く感じるレベル。単に醤油が濃いだけではなく、ニンニクのキレや後述のふりかけのスパイスによって塩気が増幅しており、実体以上に塩辛く感じてしまいます。苦手な人は要注意。
ご飯片手に食べるとかなり捗りますが、麺も大盛なので炭水化物の摂り過ぎにも注意しなければなりません。
明星食品といえば「マヨビーム」でおなじみマヨネーズ。
看板商品の「一平ちゃん夜店の焼そば」にも「ぶぶか 油そば」にも入っている明星食品の代名詞ですよね。
ただでさえかなり醤油が濃い上に、マヨネーズによって濃厚感はさらにアップ。
商品名に「鬼濃」と入っているので看板に偽りなしですが、筆者には濃すぎてキャパオーバーでした。
濃い味に自信のない人は、マヨネーズは入れないか少しずつ様子を見て入れていくかしたほうが良いかもしれません。
太麺で二郎要素も!?
麺は、二郎系のワシワシ麺を再現した太くて縮れのついた油揚げ麺。130グラムでしっかり大盛です。
今回の「鬼濃」ガッツリ味には当然、大盛の麺がよく似合いますが、これだけ太い麺でも、たれの「鬼濃」味を吸収しきれず、麺の主張よりもたれの濃さが勝ったバランスとなっていました。
別添の「ふりかけ」には、黒胡椒や唐辛子の他に、ローストガーリックやフライドオニオンが入っています。
フライドオニオンは玉ねぎなので、玉ねぎが入っているアリランラーメンから来た要素だと思われます。
黒胡椒とローストガーリックがかなり目立っており、たれやマヨの「鬼濃」にさらにパンチを加えていました。
濃い醤油味に黒胡椒が加わると、真っ黒で塩辛いラーメンでおなじみの「富山ブラック」要素もあるように感じました。
東京・三鷹のお店なのに、千葉だったり二郎だったり富山だったりと、あっちこっち忙しい商品ですね。
ふりかけの他に、具として豚肉ミンチとニラが入っています。
ニラはアリランラーメンの主要な具のひとつですが、ミンチとニラの組み合わせはあの名古屋名物「台湾まぜそば」にも似ていますね。
三鷹のラーメンに名古屋まで加わってしまうとは......(さすがに富山や名古屋は適当なこと言っていますスミマセン!)。
お店のパワーを感じられるカップ麺
冗談はさておき、濃いたれに大盛麺、さらにはマヨネーズやふりかけまで入っているにもかかわらず、具もそれなりにきちんと量がある、全方向にボリューム感のある商品といえるでしょう。
千葉の誇るアリランラーメンや竹岡式ラーメン、さらには二郎系からインスパイアされ、そして多くのお店をインスパイアしている東京・三鷹の「すず鬼」。そのパワーはカップ麺でも十分に感じられました。
醤油やニンニク、マヨネーズの味の濃さに加え、ガッツリ食べ応えも十分。
夏バテが一気に吹っ飛びそうですが、胃腸が弱っている時には劇薬過ぎて危ないかもしれませんね。