「鉄道ファンの若者たちで埋まったポートライナーの『特等席』。そこに座りたかった幼稚園児の僕に、グループの一人が...」(東京都・10代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Uさん(東京都・10代男性)
Uさんは鉄道ファンだ。幼いころから電車に乗って、景色をみるのが好きだった。
そんな彼には鉄道ファンの「先輩」との、忘れられない思い出があるという。
<Uさんの体験談>
自分は電車の運転席の後ろから、前の景色を眺めるのが好きです。
それをするたびに、思い出すことがあります。
先客は若い鉄道ファンたち
自分は幼稚園生の頃から電車が大好きで、祖父と一緒に電車に乗って遠出するのが日常茶飯事でした。あれは、2人で神戸空港からポートライナーに乗った時のことです。
乗ったことがある方はご存じかと思いますが、ポートライナーは運転士のいない自動運転のため、先頭に運転席がありません。そのため、最前席は眺めがよくて人気です。
それまでポートライナーに乗った時、自分はいつもその特等席に座っていました。しかしその日は、6人くらいの若い男性グループがいたのです。
祖父はが「ほかの人たちが座っとるから諦めよう」と言って、引き返そうとしました。すると、そのグループがこちらに気付き「あっ、すみませんどきます」と言いました。
彼らはなんと、特等席を譲ってくれたのです。
「この子は将来の鉄道ファンなんやから」
これには祖父もびっくりしたらしく「ほんまに大丈夫やから」と何度も断っていました。
しかしそのグループの人たちが
「この子は将来の鉄道ファンなんやから。先輩が後輩をいたわるのは当たり前のはなしやろ」
「ぼくらのことなんか気にせんでええから」
というのです。自分と祖父は、最終的にその席に座らせてもらうことになりました。
あれから10年以上が経ちました。自分は今でも鉄道が大好きで、よく運転席の後ろでかぶりつきで前を見ています。
ですが未来の鉄道ファンになるであろう少年少女がやってきたら、かつての自分がされたように譲るか、一緒に見られるようにしています。
最後になりましたが、ポートライナーで席を譲ってくださり、そして大切なことを教えてくださった先輩方。本当にありがとうございました。
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