「父の死後、初めて訪れた彼の『行きつけの喫茶店』。生前の様子を聞くと、私が恐れていた通り...」(大阪府・50代女性)
目を離した隙に出かけ、帰ってくるときには...
認知症になってもそのルーティンが変わることはなく、目を離した隙に出かけていることがありました。帰ってきた時に失禁をしていることもありました。
本人はオムツを嫌がって付けなかったので、もしかしてお店に迷惑をかけているのでは......と思いながらも、気持ちに余裕がなく、少し怖くもあり、お店に直接確かめることができませんでした。
病院で父が亡くなって少し落ち着いた頃、やはりずっと気になっていたのでそのお店に初めて伺いました。
するとマスターが、「ああ、あの方ね」と少し困ったような、でもにこやかな顔で対応してくれました。
父は、何度もお店の椅子を汚していたようでした。
見るとお店の椅子は昔のスナックにあるような赤いビロードのスツールに背もたれが付いたような形。失禁なんかしたら掃除に本当に困りそうなものでした。
何度か粗相をしてしまったので、困った末、途中からはビニールを被せた椅子に誘導してくれたそうです。
私は申し訳なさでいっぱいになりました。マスターは一言も責めるようなことを言わず、笑いながら「昔からずっと来てくれてたんやし」と......。