どっぷりフォンデュされちゃった... 「日本のクラフトチョコ」集まるフェスが底なし沼の入り口だった
甘いもの好きの皆さんの心が浮き立つ今日この頃。バレンタインとホワイトデーの季節である。
誰かにプレゼントするしないに関わらず、様々な甘いお菓子がお店に並んで、にぎやかだ。
筆者が特に好きなのは、チョコレート。一口にチョコレートといっても、いろんな種類があるが、最近気になっているのは「クラフトチョコレート」と呼ばれるような、小さな規模で作られるチョコレートだ。
もちろん、日本にもそんなチョコレートショップがある。全国からそんなショップを集めたフェスが開催されると聞いた記者は、2022年11月、神戸へ飛んだ。
やってきたのはカタログ通販大手「フェリシモ」の本社ビル「Stage Felissomo」。同社ではチョコレートを独自に輸入・販売する「幸福(しあわせ)のチョコレート」というプロジェクトを26年もの間続け、世界中のレアなチョコレートを紹介してきた。
そんなフェリシモの社屋の2階には、「felissimo chocolate museum(フェリシモチョコレートミュージアム)」がある。「新しいチョコレート文化」を神戸から発信するために作られた場所で、チョコレートに関する展示やレアなチョコレートの販売を行っている。
そのミュージアムが11月20日に開催したのが、あらゆるチョコ好きのためのイベント「CHOCOLATE FEST '22」だ。
熱い想いで作られたチョコレートたち
CHOCOLATE FEST '22に集結したのは、日本各地から集まった16店のチョコレートショップ。
関西圏はもちろん、沖縄や佐渡島など様々な場所からやってきた「チョコレート屋さん」たちによる、自慢のチョコレートの即売会が行われており、活気にあふれていた。
前方にあるステージでは、チョコレートショップの作り手に話を聞くトークショーが行われていた。聞き手は、クラフトチョコレートを求めて日本を縦断しているチョコレートコンシェルジュ・ちょこれいじ(野口麗次)さん。
個性的な商品がどんな思いで作られたものなのかを直接聞ける貴重な機会ということで、熱心に聞き入る参加者も。
また、各ショップでは直接、作り手から話を聞くことも出来る。
例えば、愛知から参加した「choco rico -Bean to Bar Chocolate Lab.」は、カンボジア・バッタンバン州サムロート郡にカカオ豆の栽培・収穫・加工・輸出・チョコレートの製造販売を行う現地法人を設立している。
数多くの地雷や不発弾が残っているこの地域で、地雷被害者や貧困層を雇用し、彼らの社会的・経済的自立を促すこと、そして、その家庭の子供たちが学校に通える環境の創造を目指しているのだ。
choco ricoが作るのは、そこで作られたオーガニックカカオ豆と、天然パームシュガーという2つの素材だけを使って手作りしたBean to Barチョコレート(カカオ豆からチョコレートバーができるまでを、自社で一貫して行う製法で作られたチョコレート)。経営者夫妻は、
「素材にこだわりぬいた美味しくて美容と健康に良いBean to Barチョコレートを手作りし、食べてくれた人みんなを笑顔にしたい。そしてチョコリコのチョコレートを食べることが結果的に世界の幸せにつながるような仕組みを作りたい」
という強い思いを語った。
気づけば「チョコレート沼」にどっぷり
他にも、農家から直接、あるいは児童労働の撲滅や少数民族の保護などに取り組むNGO・NPOを通して購入したカカオ豆からチョコレートを作る奈良・五條市の「chocobanashi」、カカオ豆の生産地へ足を運び、農園主との触れ合いの中で感じた「カカオ豆が持つ背景」をチョコレートに込める広島・尾道市の「USHIO CHOCOLATL」、カカオ豆それぞれの個性を見極め、「旬」のタイミングで加工する大阪市の「monpetit via cacao」など、こだわりの詰まった店ばかり。
ちょこれいじさん自身もブースを持ち、日本中を旅する中で感銘を受けたチョコレートを販売していた。
まさに、チョコ好きのためのイベント。
会場にいると時間を忘れてしまい、気づけば間に夕方に。そのころには各店舗で、売り切れの商品が続出していた。
筆者もどうしても食べてみたいと思ったチョコレートの中からいくつかを熟慮の末に選んで買ってみたが......それでも、ずっしり重くなってしまった。
しかも、「やっぱりアレも買えばよかった」という心残りがまだ残っている。クラフトチョコレート沼、深すぎる......。
筆者が訪れたのは1日限定のイベントだったが、チョコレートミュージアムのミュージアムショップ「ミュージアムホリック」では、様々なチョコレートやチョコレートグッズを販売中。とくに、23年3月14日までは、売り場を拡大して多くのチョコレートを扱っている。
フェスに参加した日本のクラフトチョコレートの取り扱いもあるそうなので、気になるお店がある人は覗いてみてほしい。